選出作品

作品 - 20070208_129_1835p

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ミドリの影 (1)

  tomo

 
 転がり落ちている慰安を踏みつけながら
 私は冬の陽が射しこむ空の影の中をあるいていた
 青年がうつむき加減につぶやいた
 ロバート・プラントをロバータ・フラッグと間違えてしまった
 ロンドン帰りの留学生はこうして音大生の彼女にふられた

 深爪が化膿する恥しらずの時がめぐり
 ごじかん前にのんだ幻聴のくすりが切れ始めた
 とんでもないことだわとんでもないこちだわ
 あした着く筈の新しい服がいつまで経っても届かない
 靴底ごとに戸籍が変わって私は動けずにいるというのに