選出作品

作品 - 20061110_474_1656p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


Nuits sans nuit

  ikaika

告発された、私の世界が、
ゆっくり夜に飲み込まれる、
瞳の奥で水平線が反転し、
真昼が醜く嘔吐する、
超えようとする昔日の石段の陽光が、
額から滑り落ちて、
握られた私の冷えた微熱、

夜なき夜を巡る、
子午線が海面から、消えてなくなる、
そして、蒸発した、
という始まりから、
流れ出た、貴方の唇から、流れ出た、
貴方、という呼称の中に、
纏められぬまま纏められた、
幼き乳房、の沸き立つ、
平野上で、
私は、G線上を歩く、
刻まれたステップの内に、宿った、

戸口は閉められ、
告発された、
夜の闇の中で、
告発された私の世界が、
落日を経験しないまま、
断崖から見下ろす、少年の怒りに満ちた眼に、
一瞬の雷光、
手は離された、
繋がれることなく、
ただ、汗は握られていた、
貴方の、いや、私の冷めた微熱を宿した額から流れ出た汗が、
唯一握られていた、
そして、青ざめた、
一気に青ざめた世界が、
告発によって
晒された、


すべてが醜く青ざめていた中で、
線は途切れた
開かれてしまった平野を目の前にした、
挨拶が燦燦とうんざりするほど降り注いでいた、