いくつ
いくつもの
いくつものあかり
いつものあかり。
夕方に なり、
東京の 切り離された空に
みえかくれ 鴉の尾羽
機械室のはためき
道々には
話し声の亡霊
そのささやかな後姿
夕方になり
斑の手が
それぞれの巣へ向かって靴音高くて
外出着を着
薄荷の香りの手
鉄扉の把手を一回り
部屋に茜 の
残党を捕え つつ
夕方の
走馬灯の世界い に
消えゆく それは
鴉も翼綴じる
ぱけっとの残光
雲
、
、
そして僕は廃墟にむかった
毎朝通学の途中で
気になってなってしかたがなかった
うちの近所の廃墟のアパート
あたりは
もう静脈血の夜
閉じ込めて来た茜は もう溶けてしまったろうか
一体何色の絞汁る
何度上のトーンの呼気を
幽霊を
廃墟には明りが灯っている
いくつもいくつもいくつも
いくつもいくつもいくつもいくつも
廃墟のアパート (いくつ
廃墟は (いくつものあかり
アパート (いくつもの
廃墟が (いつものあかり。
ゆっくり
ほこりをふき出し
せきをした
。
ここでは
話し声は来こえなかったはずなのに、
選出作品
作品 - 20060807_943_1471p
- [優] こごえ - Toat (2006-08)
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こごえ
Toat