選出作品

作品 - 20060427_385_1204p

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すみれの歌

  angelus-novus

あなたに向けてはなします……
あなたはだれかしれるものではありません
それでもあなたに向けてはなすほかにしようがありません
それは
呪い

した

すみれが傷んでいきます……
だれも知れる事はできません
ふか
のう
せい
はとてもとても、とても強く、存在がな
くてはどうしようもないと
誰も知れません
知れないのです
誰も
誰も……

すぎさりませば誰も彼もがふり、
かえって誰も糸にむすばれていました
きってもきってもきれないのですが
ときはすぎさってしまうので
みんなが
唖になりま


(あの人は旅先で死にました。
 浮かれていたら自動車に轢かれたのだそうです。
 最初の手紙を待っていたらそれが死の知らせでし
 たので
 こんら
 んしま
 したた
 るちが
 おもいうかんで
 ないぞうがとび
 ちっていったの
 でしたらばあの
 人の恋人は、ただ戦後の詩ばかりを読み始めました。
 せまかったしことばがとじないので
 かのじょはむりやりことばをとじて
 しまいまし
 た
 。)

すぎさりませばだれ彼といわずに
いたんだすみれのうえをおどって
至るまでのときを白い疵のついた
いつまでも枯れないすみれの上で。