選出作品

作品 - 20051121_423_756p

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居るのが嫌だった

  樫やすお

忘れてしまったこと、
怒りや悲しさ
まとまった思い出と
人々のたくらみ。
力の美しさは、
絶えず人々を向わせる
ファシズムだ。
だから僕は、
単純な自然か
素朴な都市の中に隠れる。
そして憧れは
音のない世界へ帰るのがわかった。
家を出たときから
気づいていた、
柔らかいつまさきは
遠くへは行かないこと。
待つことを知って
はじめて瞬間が熔け出す。
カーテンの中に居る
諸々の、
求める人
求めない人
そんな理由など始めからなかった。