明後日に
折れ曲がった指
から産み落とされた
崇高なる覗き穴へ
はめ込まれた目玉は囁く
暗がりの向こうで
白痴夫人が
眼差しで沈黙を盗もう
と石像にヒビを入れてる
何層にも重なり
押し寄せるまばたきを
不規則なラシャきり鋏が
次から
次へと切り取り
塵箱に放り投げた
「
3分前の
髪飾りをイヂる女は
俺が
黒塗りのアルミ箱へ
丹念に
丹念に押し込めてやったぞ
」
赤色電球が
全裸で左右に臀部を振りながらニヤニヤ笑う
沸き立つ雲々の合間から
幼子の手が
一枚のネガを
あかねいろの大地に貼りつけた
世界を反転させた構図だ
出来栄えは如何なものかと
斜陽に透かして見れば
四角い柵に
囲まれた薔薇は
だらしなく
涎を垂らしていた
解脱しそこねた溜め息が
戸棚に隠れて
しおらしく泣いている
悠か
悠か
上空より
真白なシーツを
純潔の白地図を
凌辱する為に墨滴が投下され
大地は斑に染まった
裏切りの代償として
淡い花を一輪
欲しただけなのに
選出作品
作品 - 20051104_018_697p
- [佳] モノクロの領域 - 蝿父 (2005-11)
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モノクロの領域
蝿父