選出作品

作品 - 20041228_165_23p

  • [優]  序詩 - 軽谷佑子  (2004-12)

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序詩

  軽谷佑子

牛が牛を食む昼間
ぼくたちは列をつくり
列は花輪をつくった
いちめんに咲きみだれていた

あさい水たまりのうえに
彼女のきれいな顔がうつる
グレー・トーンに埋もれた
いきものがそっと渡っていく

ただ過ぎていくだけの
だだ広い平地
水の涸れた川に
小便をそそいだ

膨れた腹
膨れた脚を隠さない

なんとなく失くした
たくさんの死体が川を行く
知らぬうちに生まれ変わり
つぎつぎと
引き返してくる