わたしはわたしをころしたい
それだけを申したくて今こここの円形の屋外劇場の後ろの方に 立っています 観客のぼやき あなたのことなんて知らないわ とか馬鹿げているなどという 声、それがわたしの輪郭をなぞるように はっきりとした意思へと向かわせます
ああ、こんなかたちをしているんだ
喉の奥がわかっていることとそうでないこと 嘔吐の後に、トイレの前で涙目になっているおぼろげな景色も そうが流れていく音には懺悔も混じりけのない純粋なものに近くなる頃 運命には向かうべき方向が備えられ あらゆる方向から一つの意思を導きだす 重荷ではその時を迎えられない性があるゆえに 荷物は座席に置いた
初演が、もう始まってしまいますので ここで始まる 古代から伝わる悲劇のかなしみは、360度から迫りくる現実との対比で ここには 一滴の雨すら降らない。人々のからだから抽出される 涙さえ、年を重ね 枯渇する真皮の奥やそのなかに存在する言葉や堆積にしかみいだせません
くたびれた だから、わたしは詩を書くのでしょうか それは紙が汚れることです
コラーゲンの入ったスープをコンビニで買って落として からだのなかで汚物にならずに
雨の日の駐車場が汚れた
暑い日の空は、体の中を熱くしていたら死んでしまったでしょう だからよかったのかもしれない
冒険のような人生において 真夜中の国境付近は、たたずんでいた子供たちの鼓動より先に響いてくるのがわかってしまう あなたは生きている
ここに。此処に、夢の手前で立ち往生する
水が流れました わたしのなかの血液が うなだれたわたしの中で騒々しい 冒険に関しては、恐れをなし吐き気をすら、憶えました
それが 本当のことを申すと 吐きすぎてもう生きながらえないほどです
わたしはここで、最後を遂げたいと思っておりましたが 口にするのは遅かったようで 誰かが 空き缶を投げてきてそれが顔に当たった 馬鹿らしいというからには馬鹿らしいのだなと 客観的には
わたしは 立往生しているが 崖の下に転落するのはほんの一瞬で きっと時間がかからない
あなたは 雄を迎えたことなどないと言い ああそうなのと その人を祝挽歌と呼んだ。ちゃんづけで呼ぶと調子がいいのでそうした 生と死その2方向に、その命の糧を。滴の燐光を。分け与えましたあなたが見た世界と私が見た世界 あわせて360度 ばらばらにして180度ずつに隠された光の粒子 それぞれが目の奥で潰されて暗幕が掛かる 美しいものを護るように お互いに 言葉を発せずに触りもせずに 繰り返した
それが 死とのコミュニケーションでした
祈るための公園すらいらないよと いやいるよと わたしは主張し 潰されなかった 虹彩は大変平坦な 破裂を起こしましたが 水の流れとともに穏やかな平日が描かれていました わたしから水が流れ出すということが滑稽で 戯れている噴水の水が流れ出すという想像で瞼を閉じました
膝を折りました ええ抱える間も無くそうして人々のまえに新しい存在として膝をついて 迎えます 産んだことのない子供を抱きました あやすのがおせっかいにも 好きでした わたしを呼びましたか そうすると
こころのなかが荒れ狂い 狂わされたくなどないのに静けさがやってくるのにはやはり時間を費やすしかなく 一瞬の秒針の狂いであればどんなによかったか
求められてから 本当にわたしでしょうかと聞き返す 堆積を終えた砂がしっとりと鎮座する
整列の美しさなど 憶えていますか?いいえ
往年の堆積が始まる 自然を成してから 与えました あなたたちが、澱ませた世界のなかでね 公害の空気を吸って育ち 間違っては同じように修正液ばかりを使い 削り取ってやったら 汚らしくなる空虚さに はっとして それからあなたの裸を思い出させた どうしてか透き通っている あまたの希望を背にしていてもなお積み重ねられ
地層を偶然にも 鮮やかにしたのでしょう
わたしは 死なない 代わりに詩を書くのをやめてしまったのです
植物の断片を収集し 人間にあまたのことを尋ねましたので 偶然にも発覚したのですが
わたしの考えは傲慢なのです
なぜかというと
あなたに向かいあうときの
やさしさというのは、わたしの唯一の創造物だから
>> permanent URI: http://bungoku.jp/ebbs/20161017_626_9188p
- あやめ :
ここでこんなこと書くと怒られちゃうかもしれないけど。
わたしは村田さんの詩がとても好きなのでこうして読めるのがすごく嬉しいし、この作品を読んで、やっぱわたしのなかで村田さんの詩はとても偉大なのだなと思った。 ('16/10/17 03:21:25)
- 5or6 :
所々の節の不協和音、定まらない文章の止め方、点、丸があったり、なかったり、ゆらゆらとストリングスの音のような流れがあり、読んでいてユラユラしてしまいました。俺的には、?、はいらないかな。
内容はユラユラしてあんま入ってきませんでしたがそんなユラユラ感を長く持続する力量は流石だと感じました。
では。 ('16/10/17 12:44:17)
- Kolya :
ちょうかっこいい。一行一行が詩作品みたい。ぜんぜんストーリー?というか情景は浮かばないんだけど、というか浮かぶ前に弾けちゃうような印象なんだけど、論理がかっこいいんだろうな。一人称なとこほどかっこいいな。信念がかっこいい。 ('16/10/17 21:27:12)
- 黒髪 :
クラシック音楽のように、滑らかに流れていく言葉が、綺麗。表現も、独創的で、隙も、ないです。もっと詩人自体を知りたい、もっと読んでみたいと思わせる作品で、上質だと思います。底力がありそうな深みのある言葉ですし、今まで読ませていただいた作品の上に、着実にレベルを上げておられるのかなあと思いました。
書き方の上での特徴を挙げると、スペースで区切られたフレーズ単位で時間を示しておられるように思えて、「今」の移行していくのを読んでいく時の、スムーズさがよいなあと思います。表現力と喜びのある心、やさしさ、多くの資質に恵まれておられますね。 ('16/10/17 21:30:57)
- 空転 :
メンヘラ糞詩、って断罪するにはもったいないけど、空虚だよね。
「だからあんたは何が言いたい」って感じ。
書きなれてるすっごく。
身体感覚も上々。
でもさ、90年代の女性詩、あるいはそれ以前の土俵で勝負してどうすんの。
飽きるほど読んできた文体。伊藤比呂美なんかはさ、あなたが今いる「そこ」からもっとエグい事を吐き出してたぜ?
あなたがあなただと、あなた個人の感性、主義、思想から言い張れるその強度はないよね。
舞台設定も活かしきれてるとは言い難い。
美しいとは思うんだ、この様式。
けれど、あなたがいない。つまんないよね、そんなの。
くっそ下手な隠喩を使うのをやめて、てか、あなたが苦しむのは日常じゃない。詩という表現を選んだなら、そこで苦しめ。
詩であなたの唯一のあなたの生き様を読ませてくれたら、いいんじゃね。
でもまだ書けるよね。
村田さんは稀有な書き手だと信じてる。現代詩人会の投稿作よりも良いと思う、
けどさ、いつまで「ここ」にいるのって思う。
もったいない。
次を読める機会を楽しみにしています。
基本、あなたの作品は大好きだから。酷評、失礼しました。 ('16/10/18 03:39:27)
- アラメルモ :
感覚的に語らせる女性の詩はしつこくまとわりつくように絡みついてきてうざいな、とか思わせることがしばしばあります。
観念にみた思考を男性的に喩えるならば、どちらかといえばそれは外へ拡がり、女性の場合は内へ奥へと隠る印象が強いからです。
特に身体的なもの、その生理作用について書かれたりすると男性はよくお手上げになったりするものですが、この詩もやはり女性特有の内包器官に語らせているように思えます。
モチーフが植物学ということなので、そのあたりを植物の生成などと絡めて書かれているのでしょう。
太陽の光を一身に受けとめて地上へ育つものと、水によって地下茎と根を張るものが語り手の心理や生理と結びついて読めてきます。
何れにしても、光と水によって流されたり枯渇したり、その外部からの影響を受け引き継がれるべき命が主題にもなってくるのでしょう。男性から影響を受けながらも逃れられない女性の宿命。
感傷を癒すように、また時にはそれを否定するかのように、まるで血脈でつながる子宮の内部に語りかけているようにも受け取れてきます。
概念の対象と選択されたそれぞれの言葉が不純物と交わり矛盾しあう。精神と器官とを分岐するように枝葉に分かれ地下脈でつながる。母性心理を雌しべに摘み取り図解に標本するかの如く。
水との結合だけを意識し遮断したような音の流れの無い空間。
女性的な語りには珍しく音に頼らない思考だけの世界観には好感は持てますが、もう少し読み砕いてみたいですね。
一読ではなかなか読み解けない内包された奥深さを感覚的に理解できるからです。
。 ('16/10/18 05:56:53 *19)
- 牧野クズハ :
村田さん、初めまして
一見、内容に一貫性のない告白調のような文体ですが、引き付けられるような魅力を感じました。
一文一文に自分の穢れを曝け出していて、ひりひりする緊張感がありました。
性描写のくだり、5連目あたりの、「二人の世界を分け与える」ことを「言葉を発せず触りもせずに繰り返した」という表現は、
生殖行為であるけれども、心は通じ合わないディスコミュニケーション、いわゆる「死とのコミュニケーション」という現代社会を表しているようで強く印象に残りました。
読む人を飽きさせない力がある詩だと思います。 ('16/10/18 14:04:44 *1)
- 野良猫ニャンコ :
いいなと思った点がまだあるので、それを書きますね。
単語選び、筆の運びかたによる表現はすでに書かれてますが、私も「よい」と思います。
それから、「ゆらゆら」「揺れる」「戸惑う」といった言葉を使わずして、そのニュアンスを印象付けているのが「よい」と思いました。
水を抱くとはそういうことなんだなぁと。
ただ、くどいです。
それから、途中「虹彩はたいへん平坦な」という部分で、読むことの流れが遮断されてしまいました。
それで、興ざめしたので、総合的に評価するとして、「普通」と判断します。
テーマもありきたりですしね。 ('16/10/18 20:06:17)
- 村田麻衣子 :
あやめさんへ
好意的に読んでくれて恐縮です。うれしいです。
わたしの作品はなかなかレスがつかないのでいつもさみしいのですが、いっぱいついてうれしいです。あやめさん読んでくれてありがとうございます。
以前その中でもよくレスをつけてくれた織田さんという方が、いろいろ的確にアドバイスしてくださいました。社会逸脱的なものを書き方をしない方がいいと言われたことがあり、ああわたしはそうしたほうがいいのかとよく考えてみてから、素直な書き方ができるようになったような気がします。
5or6さんへ
はてなは、たしかに勢いなのでいらないのかもしれませんね。ゆらゆらしているのが、好きなら本当に書いてよかったです。
詩を書くときは、構造を意識してここにここが書いてあって、成立するぞ!みたいな自分的な必然性が脳内にイメージとしてあってそれをなぞるように書いているので、ちょっと呪いみたいでへんだなー笑 と自分でも思うのですが、それがないと詩の成立として崩れてしまいそうで。推敲はすごく苦手なんですが またやってみますね。
やはりまだ洗練されたものではないなと思います。ありがとうございました。
kolyaさんへ
ありがとうございます。わたしは、あなたの詩の方がずっとかっこいいと思います。 ('16/10/26 16:58:28)
- 山田太郎 :
自意識過剰。詩というものを誤解して、狭いところに
縮んでいるような気がする。
まあ、これが「現代詩」というものなんでしょうが、
つまらない。
朗読を意識した詩って、自己愛の変形でしかないのじゃ
なかろうかとふとおもった。 ('16/10/27 05:05:58 *4)