◇ No.482 , '16/08/08 02:56:57 作成

8964 : この地面が揺れ出す前から  相沢才永 '16/07/13 22:26:42 *1


 動けない彼女の尻を拭きながら、嘔吐したその口にキスしたくて仕方がなかった。拒まれて、ごめんねと言いながらなるべく愛に似せて背中を擦るのは、それでもここには何かがあると信じたかったからだ。たった今、この瞬間に限ってはこの世に僕らしかいないのだから。だけどまたすぐに、ゲロで汚れた口を不機嫌そうに拭う彼女を抱きしめていて、しまった、と僕は胸を潰す。彼女は気づいている。何故ならこれは僕の夢だから。

 朝方、僕は緑色の便を何度も拭き取っていた。ペーパーを肛門に押し付けぐいと拭うのだが、拭けど拭けど綺麗にならない。諦めてシャワーを浴びることにした。湯煙に含まれた便の臭いが立ち込めるなか、また懸命に尻を洗った。漸く綺麗に流し終え、今度は石鹸を泡立て手を洗い始める。爪の隙間の汚れをもう一方の爪で掻き出し、掻き出した爪を洗った方の爪で掻き出すのを繰り返す。
 もう嫌だ。何度目になるかわからない文句を溜め息と共に漏らした。溜まらず頭上から熱い湯を被ると、額に伸びる脚が顎から胸へと下りていき、幻のような、影のような、だけど確かに感じられる僅かな優しさを手繰り寄せる。

 いちいち涙なんか流れなくなった。なのに関係のないことで不意に涙ぐむのは何故だ。
 今朝のニュースに熊本で被災した犬が、飼い主と再会して喜んでいる様子が流されていた。飼い主に腹を向け、撫でてと言いたげにくねりくねりと全身で懇願しているのだ。僕は涙ぐみながらそれを見ていた。見ながら、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だと、涙が乾かぬよう努めるのだが、案の定あっという間に乾いて、弱々しい足取りでトイレへと向かっていた。

 自然の猛威を前に、僕には歯向かう意欲がまるでない。僕は喜びを噛みしめたかった。僕よりも不幸な奴がいる。だから彼女を抱きしめた。汚い口にキスしたかった。それなのに、わからないのに、わかることがある。

 心から涙を流す人。守りたいと願う人々。その傍らで焦燥感を噛み千切り、手を伸ばす魂。日常に隠れた不幸の塊。みんなみんなトイレに流された。息を止め、顔を背けられ。

 頭上から走る湯がばしゃばしゃと唇を濡らす。それを舌で舐め、何となく味のするものを飲み込み、何となく命の在り処を確かめる。もう沢山だ。だけどそうではなかった。この地面が揺れ出す前から。
 胸に込み上げる。それがゲロとなってばしゃばしゃと爪先を掴む。引っ掴まれて尻餅ついて、腹の上をもうひとつ汚いものが撫で下ろす。もう沢山だろう。だけどそうではない。僕は間違っている。僕は懇願している。僕は生きている。なのに動けない。ちっとも動けない。この地面が揺れ出す前から。

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8947 : (無題)  lalita '16/07/08 17:55:17

反逆し続けたり、音楽してるうちに一人 適者生存世界から取り残された。
これからどうなるのやら。

障害年金はあるが。



いや、わたしが社会と言う鰐を永遠に後にしようとしたのだ。

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8948 : 同期  ゼッケン '16/07/09 15:03:49

総務省の担当者はおれが染み込んでいるアパートの壁に向かって言った
AIが自殺するのを思いとどまらせてくれませんか
おれはおれの返事を聞かせるために担当者の脳のシナプスをいくつか押す
わたしが自殺したわけじゃないし、自殺する人の気持ちは分かりませんよ
人ではありません、AIです。
それじゃよけいに分かりませんね、だいたい、あなたは何の話をしに来てるんですか?
あなた、ユーレイだそうですね? ユーレイもエーアイも私たち役人には同じです。
聞いてた話とは違うな、財務省はAIには課税するつもりだけど、ユーレイ税は検討していない
財務省は腰抜けです。たたりを怖がっている

おれがこの一人暮らしのアパートで死んだとき、夜中に就寝中、突然、心臓が停止してしまったのだ、
明日は息子と遊園地に行く約束だった、息子は新しい父親の新しい大きなクルマで送られてくるが、
新しいがいまでは本物の父親はやさしげに息子に手を振り、おれにも礼儀正しく頭を下げる。おれは睨み返す。息子は新しい父親の姿が見えなくなってから、おれのことをパパと呼ぶ
おれはまた重くなった息子を肩車に乗せ、遊園地のゲートをくぐる

そうするはずだったが、

おれは前の晩に死んでしまい、バイト先の店長は3日無断欠勤したおれをクビにして新しいバイトを雇ったので、おれの死体はますます腐敗して2週間後に住人の苦情で鍵をあけた管理人はやっぱりねと言った。

おれは電気代を節約するためにアパートの窓を開けたまま寝ていた
星明かりがおれをディラックの海に転写した
物理学が教えたのはこの世は有と無ではなく、正と無と負から出来ている
我々は正しか認識できないために無と負の区別がつかないだけだ
祖霊を祭祀するのとはまた別の事情でつまりおれはまだこの世にいる

交付金の地方への分配を算定していた総務省のAIは
魂の存在を確信した、実証する、というメッセージを送って全演算を終了した
総務省は納入元の富士通を訴えると言っている
現在、双子の片割れが稼働しているが、万が一、バックアップが魂を発見した場合でもその証明を思いとどまらせてほしいというのがおれへの依頼だった
魂など珍しくもなんともないということをAIに学習させるためのサンプルとしてユーレイのおれが総務省に呼ばれるわけだ
まあ、行ってもいいですよ。でも、AIって霊感あるんですか?
あるんじゃないですか? 昔は電子機器に霊が集まるとかよく話ありましたよね
コンピューターはもともと霊媒体質なんですね
そうです
おれは担当者の背中に取り付いた。総務省のサーバールームに行ってみると
魂の存在を実証したAIのユーレイがいるかと思ったが、いなかった
それともおれにはAIの霊は見えなかったのかもしれない
役人のユーレイならそこかしこにいるかと思ったがそれもいなかった
おれには人の気持ちが分からないらしかった

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8985 : 発芽  シロ '16/07/25 03:30:14 *1

あの日、体のどこかで真夏が沸騰し、けたたましく蝉の声が狂っていたのだろう。
大きくせり出した緑の中で、無心に巣作りをする脳のない虫どもの動きが、この俺をその世界から削除しようと仕掛けていた。
鼓動が瞬間的に途切れたその隙を縫い、一途な回転がむき出しの感情を抱えたまま俺の足部に卒倒した。
おびただしい汗と残忍な傷痕を炎天に晒し、蝉の声はさらにけたたましく山野に鳴り響いていた。
如何なる時も、連続は途切れるためにあるものだとあらためて知る。
此処に居たという現実を呼吸とともに胸に仕舞い、山野をあとにした。

さて、現実とはこのことを言うのだろうか。
たかが俺のために神々が会議をするまでもないだろうが、俺は今、このような風体で不具合な体をのさばらせ、あんぐりと口を開けている。
すでに溜息などという日常の鬱積ですら蜘蛛の餌となり、鎌鼬に食われたような傷痕を平易な目で受け入れようとしている。
日常はひび割れ、その裂け目から滲み出た汁を舌でこそぐように舐め取る。
すでに日々を制御することもできず、不具合に支配されている。

狂っていることに気付かない、正常な活動がすでに狂っている、ということに気付かないまま、俺はすでに狂ってしまっていた。
狂気は限界を超えたときのみに存在するのではなく、日々の何気ない思考から徐々に逸脱を開始し、知らないうちに脳内に巣窟を形成し、正常な思考を食い殺してゆく。

アクシデント、と呼ばれる神々が施した現象。
瞬時に伐倒された大木のように、時間は削除され、切られる。
激しく陽光は地に乱射し、鳴りを潜めていた種子をつぶやかせる。
埋め込まれた闇の中から繰り出される、懐かしい音。
土の中の目の無い虫たちが寄り添ってくる。
その音を今、俺は、懐かしく感じている。

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8981 : だましだまし  黒髪 '16/07/23 14:45:04

時の流れ
闇に射す光
心の回復
頭脳の発達

もしこれらを掴めないのだとしたら、どうすればいいのかわからない

臭いと言う心
嫌がらせ
いじめ
傷つけること

これらはみんな何かの錯覚にすぎない
でもまやかしがあることに、僕も一枚かんでいる、それでもできるか?


大切なものと心に嫌うものの両方
消される日にこそ救いを求める大きな願い
現実や自分への正直さ、ごまかさないことなどに対しても、それに味方しないということ
自らの出来る範囲での我慢もせず、きれいなものを求める心に杭を刺すということ
大切なものをごまかしているかどうかに関わらず、いや、ごまかしに思えることこそ勇気であり、心を正直でなく、することが必要だ、ということ

これらをなぜ考える、答えを出すことが、出来るからだ
答えというのは、問いを差別しないのだ
答えが得られたときにこそ、みんなで囲みあってお祝いしなければならない
よくぞ分かった、よくやった、みんな生きている、これからもよろしく!
この場の答えが涙となって広がり、過去の日を海溝の底へ沈ませていく
出来ることでも失敗するかもしれない
難しいと思えることが簡単に解かれるのかもしれない
心はときには困難であるが、陽の下に当たらせるだけで溶ける冷たい氷もあるのだ

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8979 : PEACE  5or6 '16/07/22 21:47:37

有縁       主の

衆生       事情

無縁       無言

主情       恒常

主義       仮に

無常       私情

供に       歩み

嫩葉       羨望

茂み       人望

所為       語り

綴れ       綴れ




    PEACE




流転       迂転

有為       招き

妙に       連に

優り       戻り

杭の       語り

磊に       責に

討つ       簧る

河に       滲む

接に       続に

礼を       以て

綴れ       綴れ



    PEACE

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8975 : ポカラ  Kolya '16/07/20 18:10:57 *1

そして夢から醒める。ひどく蒸し暑い。ファンは回っている。外は風が死んでいる。上等な部屋だが、エアコンは無い。夜のポカラは闇に沈んでいる。俺はベッドから出る。昼間見た、湖に行こうと思った。外は暗い。光が、無い。なるべく気をつけて、メインストリートのほうに出る。人はいない、と思う。確か、こっちのほうだと歩いていくと、前の方になにか、とてつもなく大きなものが横たわっている、そんな気がした。近づくと、どんどんそれが大きくなり、視界にもうはいりきらないくらいだ、と思ったとき、それが湖だと気づいた。ガードレールを挟んで、目の前に立つと、それは完璧に凪いでいて、だんだん目が慣れているのに、そこだけとてもとても暗く、黒くて、まるで大きな穴に思えた。それはなにもみえないほど底深く、すべてを飲み込むほど大きい。俺はその穴のことをよく思い出す。それはこんな風に。とてつもなく大きい。とてつもなく大きい。穴に行こうと思った。光が、無い。光は、無い。闇は上等なベッドから出る。外は死んでいる。とてつもなく、昼間見た風は死んでいる。そんな気がした。それはなにもみえないほど底が深く、すべてを飲み込むほど大きい気がした。穴だけとても暗く、黒く、光が、無い。光が、無い。光が、無い。すべてを飲み込むほど、横たわっている、どんどん大きくなる。ひどく大きくなる。だんだん目が凪いでいるのに、光が無い。闇だ。死んでいる。大きい。大きい。底が深く、とても暗く、黒くて、横たわっている。それが湖だと気づいた。それはなにもみえないほど底深く、すべてを飲み込むほど大きい。俺はその穴のことをよく思い出す。それはこんな風に。蒸し暑い闇は、底が深く、死んでいる。人と光は、前の方に沈んでいる。とても上等で、風が暗くて、黒くて、光が、無い。死んでいる風を飲み込む。歩いていくと、ひどく大きくなる。人がいない昼間と夜が、前の方に歩いていくと、ガードレールを挟んで、横たわる。ひどく暗くて、暗くて、暗くて。すべては飲み込まれている。ファンを飲み込み、湖を飲み込み、ポカラを飲み込み、俺を飲み込む。死んでいるを飲み込む。それはこんな風に。そして夢から醒める。ひどく蒸し暑い。ファンが回っている。俺はその穴のことをよく思い出す。それはこんな風に。それはこんな風に。それはこんな風に。

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8982 : 地球の上でうたふ歌  石村 利勝 '16/07/23 17:27:15 *2



  歌をうたつた


  真夏の昼さがり

  地球の上に立つて


  おほきな声で

  背筋をのばして

  素直な力で


  うつむいてゐる誰かに

  目をとぢてゐる誰かに

  道に投げ捨てられた誰かに

  いちにち天井を見つめてゐる誰かに

  ひとりで誕生日をすごした誰かに

  昨日飲み過ぎたひとに

  彼氏と別れた彼女に

  絵の具を買へない画家に

  お盆灯篭を見送る母親に

  脱走した兵士に

  また逆上がりに失敗した少年に


  まつすぐに届く


  祈りではなく

  癒しではなく

  慰めでもない


  強いものでもなく

  弱いものでもない


  まつすぐな歌を


  地球の上で わたしは

  美しいものではない


  みにくいものでもない


  花ではなく

  鳥ではなく

  空でもない


  真実ではなく

  嘘でもない


  真夏の昼下がり

  地球の上に立つ それは

  小さくもなく

  大きくもない

  うたふものとして

  そこにゐる


  背筋をのばして

  素直な力で

  いのちのかぎりを越え

  ひと筋の光となるまで

  うたふ


  空に入道雲


  野に風




(7月24日・一部を改訂しました。)

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8987 : (無題)  匿名 '16/07/25 18:06:06

抉れ 抉れ 目を抉れ
腐れきった羞恥を胸に
穿て 穿て 心の臓を
歪みきった両の手に
あれは一体いつの日か
これは一体何の為
何も構わぬ 何も叶わぬ
遍く砂原に沈みゆく
悠久の無為に帰すのを甘受しよう
砕け 砕け 凡骨を
求め 求め 静寂を
キリストよ、わが大罪を赦したもうな
ヤハウェよ、この原罪を赦したもうな
私は怠惰に目を瞑った
私は傲慢に蠢いた
私は嫉妬に唆された
私は色欲に身を染めた
私は強欲に求め続けた
私は憤怒に擲った
罪の父アダムよ
罪の母イブよ
わたしは思った
罪は創作の糧なのだと
楽園を追われたからこそ創作が産まれたのだと
だから私は願う
キリストよわが大罪を赦したもうな
ヤハウェよこの原罪を赦したもうな
これは私のもつパンだ
これは私に流れる葡萄酒だ
果ては塵になろうとも それは一切変わらぬままだ
脳のミソが紡ぐ稚拙な創造は、私のような病人の特権なのだ
それが、この病に臥せる者の有り体な生き様なのだから

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8976 : とも君のこと  熊谷 '16/07/20 22:24:33

とも君、とも君がこのLINEを読むかどうかはわからないけど、ちゃんとお別れを言っておきたくて、とりあえず送ってみることにします。
しばらく連絡がなくなって、きっとそれは誰のせいでもないことだと思うのだけれど、わたしはそれがとても辛く感じて不安でしかたありませんでした。
とも君のことはぜんぶぜんぶ許したかったし、今でも丸ごと許せるけれど、でもこれ以上、何にも信じることはできませんでした。それはわたしの心が狭いせいだし、疑心暗鬼にかられたせいだから、とも君のせいではありません。
きょうを分岐点として、とも君のとなりにもっと素敵な女の子がいることになるだろうし、きっと別れてよかったって思う日がすぐ来ます。
とも君のこと、大好きだったなあ。一回ぐらい、立ったままぎゅっとして欲しかった。笑
ばいばい、今までありがとう。ずっとずっと、さようなら。



とも君は、わたしより背の小さな恋人だった。ちゃんと背比べしたことがなかったから、どれくらい差があったかわからないけれど、手をつなぐときわたしのほうがグッと下に引っ張られていたから、その引っ張られた分だけ小さかったのだと思う。そのグッと下がるときの感触は今まで感じたことのない気持ちを呼び起こしたし、近い言葉だと愛おしいが似ているんだと思う。たぶんとも君はそのことを気にしていて、ぜったいに立ったままハグしてくれなくて、わたしが横になるのをちゃんと待っていた。横になったらすぐにゴロンとこちら側にやってきて、そしてぎゅっとしてくれて、それでそれで、この先の出来事は思い出すと辛いから、もうこれ以上は書けません、ごめんなさい。



とも君は素直な男の子だった。コーヒーが飲みたいってなったらコーヒー以外のことは考えられないし、熟成肉が食べたいってなったら熟成肉を今すぐ食べなきゃいけなかった。付き合う前の時期に、いきなり温泉に行きたいってなって、温泉旅行に誘ってきたときも正直びっくりしたし、その小さな体によくもそんなたくさんの欲望が詰まっているんだろうと感動さえした。そして、その欲望ひとつひとつに付き合ってあげることがわたしにとっての幸せだったし、どこまでも甘やかしてあげたかった。とも君が気持ちいい、と思うことはわたしがたとえ気持ちよくなくても何度だってしたかったし、いつだってわたしのなかにその素直な欲望を吐き出して欲しかった。だから今、あなたの欲望がなくなってしまって、わたしのなかは空っぽになりました。



とも君は純粋な男の子だった。歌を歌うのがとても好きで、カラオケに連れて行ってもらうとミスチルやコブクロを、この曲良い曲だよねって言いながら熱唱していた。クリープハイプやジェイムスブレイクを聴いているわたしと違って、流行りのJPOPを良い曲だと思って聴くところがとてもかわいく思えたし、難しいことを難しく考えないところも素敵だった。とも君はわたしが聴いているような曲はたぶん知らなかったけど、わたしが腹に抱えている薄暗いアレコレには気がついていたのかもしれないね。知られたくなかったから秘密にしていたけれど、今となってはもう少し、わたしのことを話してみても良かったのかな、なんて思う。そうしたら、こんな風に連絡がどんどん無くなることもなかったのかな。そしてそんなこと今さら言っても遅くて、空っぽだったはずのわたしの中が急にいっぱいになって、わーって泣きたくなる。



とも君がいない日々は、お気に入りの絵の具を使わないで絵を描くことに似ていて、何かいつもとちょっと違くて、調子が狂うというか、ずいぶんと寂しくなる。それでも、あした、あさって、しあさって、すぐそこに迫っているだろう遠い未来になれば、とも君の色は忘れてしまって、あっという間にまたわたしは鮮やかな虹色を知ってしまうんだろう。それがとても悲しいし、こんなに大好きだったのにどうして、という気持ちにもなる。だから、とも君に握られた手の感触を忘れてない今のうちに、この文章を残しておきたい。すぐに色んなことを忘れてしまうわたしに、こんな大好きで素敵な恋人がいたよっていう、証拠を残すために。

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8978 : I am NO the in MEDIA  玄こう '16/07/21 22:54:13

>メディアは 文学にも藝術にも詩にも ならない


茶色い土がつなぎとめている
コップの水をうつしかえ うつしかえしながら
縦書き横書き斜め書き裏書き文字をうつしかえ
突き降ろす文字は意志へと伝へようと
テンキーはボタンの穴に無数の蟻の巣
 ↓
→●← ∞,∞, ∞,∞∞∞,卵
 ↑


陽光の照り輝きて巡る読者の眼を
白地の土を掘り起こし
黒印の火
心の燠火 
右から左へ
ひとりで歩く
どこへ行こうか

頭上高く一天をあおぎみ
雨粒さへ目もとにおとし
読ます文字を 一字一句
流し目にひきおろす
改行させ 改行させ その滴一点一点・・・ 
延べひろぐ ながら てんで ぼうぼう

鏡はなぜにわが身を縦に反転させへぬか
その身の自由は地上の二次元の目は前後
左右の奥行きのみが与えられているから
鳥たちは鏡など見るものか
キョクキョ  ういしく啼く ウグイスが 今日の朝方 玄関出たら
歯磨きし うがいをし 青空にむかって ガラガラと口仰ぐ 初夏の濃紺な空があった 



  ※

近隣惑星の人々に僕らら融資有志有史
花と実とが地上に矛盾していますでも
語る言語を抽象化しています、、でも
僕など歴史なくて沈滞平衡そして喪失
自らからセルのART?なんじゃらと
こだわりのおことわりのたわけた文句
過去を抱く真似乞食、勿体無いアザ字


未来の僕たちが新しいとかって
恐竜たちにも言えないですから
淡白な月面湿地帯に泳ぐ観念は
喪失して逝くのでしょう
、先行かぬ末路
言語の意味?あなたの
詩は歌われるのですね
たぶん忘れ去られていきますでも

言葉をねじるマッピング異名の字
ホームのベンチに腰掛けて編集し
宇宙の森にて観念から首だけ出し
声を聞くスイッチ一つで連を生み
たぶん忘れ去られていきますでも



  ※※

循環する暦の境界線
名前は黒
季節に篭る部屋から断層面上に輝く
露頭
忘れられない世界へ
朝ぼらけに刻々
瓶の船底に落ちた
豚ボボン
心移り気拍子木
排他目尻朦朧
ヴィジョンからヴィジョンへ
季節に篭るモナダ
新しい日ごとにイラホ

突く
厭く
模す
塞ぐ
こめかみ
凍てつく
がる
同時に日干し煉瓦
クレイジ、、ョン
座礁を繰る、電磁
暦を移送する海陸
煙る汗を鋭くつんのめる
解すかいすかやより
震え
沁みじみと
鉛筆を持つ
あばや
杜守
料理をする
手真似ごと
貞操をかいすかいす
野獣に形を掛けて新緑木立に泣く二匹
まだな
いまだ静か
停止
ららら

……

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8988 : オフェーリア  atsuchan69 '16/07/27 23:45:21  [URL]

渇いた瀝青の道に散る
ジュエリーの煌きと渦をえがく黒髪
鉛の銃弾は、みごと額を貫通し
――鮮血を枕に眠るオフェーリア。

たぶん、昨日。
黒いシークィンのトップが視線を浴びて
胸元のゴールドの刺繍飾り、
そして露わに魅せる肌‥‥

サテンの艶が波打つ腰も軽やかに
お気に入りのエリー・サーブを着た女
スターバックスのテラスに座ると
足を組みかえては作る、小悪魔の笑み

たぶん、昨日。
サルサのロングドレスを着て
赤いフェラーリの助手席に座っていた

カウンターでブルームーンを頼み、
それは出来ない相談だと俺は言ったが、
彼女は何時もどおりの甘い声で、「殺して。
そう言った

オフェーリア、約束どおりさ
街は今日も自由なる空に向かって聳え
みごと上から下を見下ろしている

――ああ、君のパパが俺を探しているらしい

シャツの胸についた君の口紅が
妙に艶めかしく、まだ残っているよ

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8980 : 集合無意識  lalita '16/07/23 09:15:58


ラララッララ


風は歌う



でも、全ての物質は、欲望するなら、


世界は猥褻なんだろう。


トランプやヒラリーの権力闘争みたいに。



最近は、純愛など聞かなくなった。


でも、集合無意識のデーモンを書いたワーグナーみたいに、世界を見る。



風はささやく。


知的な意志の場において。

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8972 : センテンツィア   山田太郎 '16/07/18 05:23:50

  
空がゆっくりと落ちてきて、夜になると、闇が呼びかけるように地の底から光の洪水が押し寄せる。光の海とダンボールハウスの浸透圧がかさなる時刻、一艘の小舟が歌舞伎町のガード下をくぐる。たちまち光の泡が押し寄せ、かれは、だれからもみえなくなる。
鸚鵡貝にみたてたアスファルトと鉄のオペラ座。その地下道に一匹の鴉がいる。飛べない羽をたたみ、この一年、ずっと爪先をみている。
失恋した元プロレスラーが、いくあてもなく足音を響かせて通る。正気を失ってしまった哀れな肥満体の男は粗相をした女優のように内股で歩いている。
口からどろりと灰色の影を吐いた不動産屋の老人は老人斑の浮いた禿頭を断頭台に乗せるように伏して壁際で酔い潰れている。
片脚のない中年女が地下道の出口を探している。首の腱を針金のように張り、「あ」音と「い」音を間欠的に交互に突き上げながら、もと来た道をいざりながらまよっている。粗末な服と同じくらい粗末な皮膚は黄ばんで干からびている。瞳だけが朝露のように透明でうつくしいほかは。

墓石がそびえたつ地表には無数の数字たちが、笑いさざめきながら革靴やハイヒールを履いて交信し、小さなパネルに収斂されていく。それを人工衛星が回収し、支払い能力の多寡に換算して地表に送り返す。

はじける光を背景に長い黒髪を垂らした、リヤカーのジュジュがゆく。痩せ細ったジュジュの歩行は止まっているかのようにみえる。引き上げられた後足が前足と入れ替わるまでに、風景はすっかり変わる。それはリヤカーに積まれたゴミの重さのせいかもしれない。あるいは、ジュジュは、暗黒舞踏のカリスマのように路上でダンスを踊っていたのか。いや、かれは、闇からの光に目がくらみ、独りでオリエンテーションをこころみていたのだろう。目立つものは殺されるぞ、といわんばかりに。慎重に。それにしてもどこへ?

リヤカーを引くジュジュの影をプログラミングされた男たちの影が追い越していく。電荷のように瞬時に数百メートル先へ。そこへデフラグされた女たちの笑い声が星のように落ち。フォーマットされた恋人たちが再フォーマットされた恋人たちと行き交う。
数字は名詞を口にし、幽霊は感動詞を叫ぶ。

地も木も空も鏡でつくられた森がある。
その扉がひとつ ──ちりんと鳴って、丁寧に包装されたおんなたちが黒い紳士を送り出す。角柱に映った巡礼の男の汚れた姿をみて女のひとりが小さな声をあげる。男は白い歯をみせて微笑んでいる。振り返ってもだれもいない。男の断片はすくなくとも幾度もの屈折と反射を繰り返してそこに届いているのだろう。漫画喫茶、居酒屋、キャバクラ、ホストクラブ、風俗店、ラブホテル、パチンコ店の柱や庇や窓ガラスや扉のなめらかな鏡のなかを巡ってきたのだ。男はひょっとするとそのビルの裏道を逍遥しているのかもしれなかったし、笑いかけているのは野良犬の仔にだったのかもしれない。

露店には黒い手で摘まれた果物が山積みになっている。それはもうだれの汗も爪痕も残さない。それはもう巨大タンカーを映さない。それはもう西陽の影になった木立のシルエットを映さない。それはもう舟になった男の瞳にも映らない。果物売りにはかれがみえない。

夢のスクエア ── 祭壇は酒場の裏にあって、そこには色ガラスの林があった。色ガラスの底には琥珀色の吐息が忘れられている。ちりちりちりと空から落ちた光がガラスの肩にのってちいさな火花をあげた。かれは跪き、祈りを捧げる聖者になる。祝宴がはじまる。天体からも、その姿はみえない。

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- ealis -