指先に燃え移った筆先の赤
稜線を伝うままに目が悪くなる。
潜り込んでしまった甥っ子の寝息
その一言が歩けなくなる。
肺の奥、鱗のすき間、
それらは寝床であった
後ろ足の硬直であった
と
思い出した、水の薫る強風の、瞬き
盲導犬の頬の中
誕生日は縮こまって廊下に立った。
箪笥の裏の埃は温く
山道は緩やかな垂直になる。
内蔵の、一人きりの糸通し
木刀が、大木に巻き付いた
こぼれるまえの ほうきぼし
外さえ、こだまし、舞う雪の様
選出作品
作品 - 20200107_719_11670p
- [佳] あい - 黒羽 黎斗 (2020-01)
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あい
黒羽 黎斗