選出作品

作品 - 20191217_347_11620p

  • [優]  改行 - 黒羽 黎斗  (2019-12)

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改行

  黒羽 黎斗

解答用紙は、試作品 (木は、実りを得る)
解答用紙に、試作品 (滝の色が赤くなる)
際限のない流星は心臓を照らし、
脈の中で、蒸気を発する。
裂かれた腹の中は、小惑星の欠片
二枚の膜を透かし、人の世渡りに
際限のない誤りは少年を照らし、
卒業式をただ座して待つ

暴風雨は時期尚早であった。
それは見る物を待ったままだった。
覚醒する太陽の中心というものは、
肩を砕いて直感を肯定する。
目の色をまだ、赤く保っている。
(気が付くのは隣の少女ただ一人)
(埋められた骨盤の数を数える)

生者は、行進する。
死者は、飛び上がる。
生者は、右腕を持ち上げ
死者は、生殖器を抉り出す
生者は眠る
死者は眠る
生者は、(二人で)一人になろうとする。
死者は、(四人で)繋がりを求めてしまう。

嫌われるべき農道を知る老夫婦に
典型的な林檎の甘さを、
避けられるべき街道を忍ぶ探偵に
埒外な蜜柑の酸味を、

その布切れの断面図
その紙切れの立体図

声は一人のものであれ、
私は外と繋がっていよう。

緑色に、染まり、和となりなさい。