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作品 - 20191101_694_11534p

  • [佳]  あっ - 監獄  (2019-11)

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あっ

  監獄

あっ 滑る 雲海へ chill あっ

オレは死ぬ 雲が 地上を覆っていて

オレには大地が視えない 凍てつく空気が

頬を刺し オレは加速していることを

知る 富士 雲に覆われて地上が視えない

まず腰を打ち その瞬間「これは氷だ!」と

感じた 絶望とともに オレは視えない地上に

向かってどこまでも落ちていくだろうと悟った

それから 肩 頭 脇腹を打ち一回転して立て直す

――丁度滑り台を無邪気に滑る子供みたいな格好で――

尻餅をついて情況はもはや救いようもないほど最悪なんだと知った

――本当にまるで滑り台滑り落ちる赤ちゃんみたいな格好で――

底なしの

    斜面

       ストックが

             あたりを舞い

(あぁオレはなんだってこんなヤクザな靴で来ちまったんだ)


(あぁ全く、なんだってオレの最後に目にする人間界と繋がりのある物がこんなヤクザな靴なんだ)


(あぁ、なんだってオレはこんな寒くて味気ないところで死んでいくんだ)


嫌、だが待てよ、もしかすると――
      
嫌、もうこの速さは駄目だ

とてもじゃないが止まらない

なんだってこんな清冽な空気!!

あぁ、死!!!



「あああああ」

「落ちた?」

「やばくないか?」

「滑った!?」

「ああああああああああ」


なんだって、こんな美しい景色!!!