「世界は眩しいからね」
というくぐもった声を、本当はずっと覚えているから、言われたとおりにサングラスを外してしまいたかった。
ずっと極地の夜にいるみたいですよね、死なない方法をなりふり構わず探している。社会から外れるなら、ついでに正気も外そう。さよなら、ぼくはたった今から清潔な病院で縛られていく。それでも忘れ物が減らないのは、ぼくが優しいからだよ。初めて学校に置いてきた傘を、ひとりぼっちにしたくなくて。
子供たちが裸のまま、水たまりを踏み割ってる。
雨のリズムと末路だけは、
みんなはじめから知っていた。
はじめから
もっとかさぶたを剥いで?空の、もっともっと上の方から。透明な砂に撃ち抜かれても走り続ける姿は、新しい神様との戦争みたい。
虹以外のすべてが洗い流されたら、ぼくはなんて言おうか。とびきりのものが出るまでやり直している。
選出作品
作品 - 20191010_427_11501p
- [優] 戦争が終わるまで - 鈴木歯車 (2019-10)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
戦争が終わるまで
鈴木歯車