一日、また一日と
忘却した記憶に登場する
キャラクタアが
私たちの行列に
続々
と
立ちならぶ。
あの小さな戦争たち の
ことを 蒸し返すのだ。
あの小さな戦争の
銃撃戦(言葉は銃だ 引き金を 引け)
白兵戦(さあ 詩のボクシングの はじまり だ)
あの小さな戦争に
流されたたくさんの
涙 涙 泣いて 泣いて(君とは 違う 華を咲かせた)
たくさん の それ や
たくさん の これ や
たくさん の ねえ
それらのぜんぶが、
私たちの涙と
水平線の、向こう側へ
と。
※ここで、行列の内訳を 簡単に―これは詩の一部ではありません。
(1)恥ずかしくていえない それやこれ
(2)恥ずかしくていえない これやそれ
(3)恥ずかしくていえない ねえ
(4)まあ、要するに 私たちの 頭の中の古い あれやあれ ねえ
以下、本文 へ
だからこれは、
私たちの
小さな戦争なのだ
時間をかけてゆっくりと
並べてきた行列に、
過去から押し寄せる
無数の兵ども
私たちは また、
砲台の音を聞く 心地の良い声の 砲台の、音。
引き金を引くのは もう 嫌
身体を傷つけるのも もう 嫌
だから
たくさん の それ や
たくさん の これ や
もっと
たくさん の あれ や あれ について
……。
そうして私たちはまたお互いの血液となって絶えず循環し、
この小さな戦争も、
二人の轍となって
忘れがたい名を
つけられるのだ
選出作品
作品 - 20190928_224_11470p
- [優] 私たちの小さな戦争 - 左部右人 (2019-09)
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私たちの小さな戦争
左部右人