まどろみのうちに
突然! 草原が立ちあらわれ
ぼくは飛び起きた
子供のころの鮮明な記憶だ
幼い想像力でつくりだす草原はとても陳腐で
ぼくは丈高い草叢のなかに寝転び青空を眺めていた
ぼくの肉体はみるみる風化して
白骨化し、風にあおられて散った
無数の骨の欠片となったぼくは
この草原が地球全域であるかのように天から見渡した
目覚めたぼくはどきどきしていた
それは死に対する恐怖ではなく
むしろ憧憬であった
あれから二〇年だか三〇年だか
その希死念慮がいまだに抜けない
まだ人の手の及ばない大地のなかで
息を吹きかけられるようにたおれたい
選出作品
作品 - 20190813_575_11392p
- [佳] 草原で - 右左 (2019-08)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
草原で
右左