選出作品

作品 - 20190628_810_11287p

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花の眠さ

  右左

ちらちらと鱗粉がきらめき
花々は眠ってる
思い出のようにかすむ広場を
立入禁止の柵が囲ってた

川底に沈んだ塗絵は
いっさいの輪郭を失い
溶けあった幻のような色味で
でたらめな水中庭園をしあげてる

奇妙な舞台を見たことがある
幕が上がり照明が降ってきて数十分
役者ひとり出てこなければ音楽も鳴らない

たゆたう、という言葉を初めて聞いたとき
歌う意味だと思った
陽だまりの下
花は誤読を誘った