選出作品

作品 - 20190619_605_11273p

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月の影に咲く花

  みちなり

月達の会話がこうこうと聞こえる頃に、星達はきらきら笑います。その日僕は月達の影に見付けたのです。自分とは違うけれど、似たモノを持っている事を、分かったんです。いずれは壊死してしまう細胞と同じように、私達の全ては期限が決められたモノとしての、死が約束されています。死は誰もが通る道の最終地点です。その最中で、生死というものが、救いになる事もあります。できれば、生きていてよかったと思いたくても、変えようがない事もあるんです。死にたいと思う事が、どうして悪いのでしょうか?生産的な視点での経済を支える目では、私達の死は、少なからずのダメージを経済に与えます。ほんのささやかな、幸せの中でも、手放したくないと思えたら、死にたいとは思えなくなるでしょう。

零の愛しみの影には、失ったことから得たパースを元に組み上げられた世界があります。それは僕にとっての光です。

一の涙には共感の力があります。それは僕にとっての力です。

二の微笑には何時もおまじないが込められています。それは僕にとってのびびでばびでぶー。魔法です。

三の伏し目には黙祷の意味が込められています。それは僕にとっての怒りでした。

四の見上げる世界ではヒビが入って割れそうで割れない事が、正しさです。意味が分かる頃には、やさしさが与えられるのではなく、与える事だと知ります。

五では見下ろしていきます。撫でる風は過去ではなく未来へ向かう事を自然と教えます。

六、愛するという事は行動が必要です。結果は後からついてきます。愛される事は誰よりも愛する事だけど、距離感を知って、近付く事だけが愛する事ではないんです。僕の水は、誰かから一滴貰えれば、百の力になりました。百の力は分けていけば万の力になります。だけど、サボテンに水を与えすぎてはいけないように、愛することも度合いによっては、傷付け合う事がありました。

七、苦しみとは楽しさを知るためのカギです。楽しみを探すためには、言う事や書く事よりも、同じ時間を共有する事、それはあなたにとっての楽しさであっても、僕は楽しいんです。笑顔を見れる事が、幸せだと思うけれど。手を伸ばしても届かない。苦しみがあるから、笑顔の素晴らしさにも、僕は影を感じます。

八、九、十。心にも体にも良いのは、分量の差でしかないんです。

十一。欲しいものを欲しいだけ手にする事ができたら、手に入れる事、手に入らない事の差異から何を見出せるのでしょうか?どうあがいても手に入らない事から、救いを。生み出せるのは誰でしょうか?

十二、十三、十四、十五。サイクルの中で繰り返すことが、折り鶴を折るように。折り目を付ける事が。誰にも大事だという事を気付かせてくれます。それは、些細な繰り返しかもしれないけれど。世界には。小さな積み重ねでできた。光と影があります。僕はどちらも持っているけれど、どちらも持っていません。持つという事を待っていたんです。

十六〜ニ十八。秘め事は男女問わずあるんです。明かす事だけが全てじゃないよ。お墓に持っていく事も決めてる。そんなに多くの事は誰も望まない。望むという事がどれほどの価値を持つのか?僕には答えがある。誰にも教えないだけだよ。

月達の会話がこうこうと聞こえる頃に、星達はきらきら笑います。あの日僕は月達の影に見付けたのです。満ちる事も欠ける事もない。

とこしえの花。

あなたの影が美しいのは、僕が美しいと感じるからではなく、誰かにとっての光が昔は、陰であったから。輝きだす瞬間に出会えたら。何よりも幸せなのかもしれない。