馬でどこかを駆ける時
彼らはただただ幸せでした
目元を見てはいませんでしが
口元を見ていたのは事実でした
尖兵になってしまいたかった
そう言い出した彼らも同じく
知らないままでいたいから
知らないままでいましょうか
溢れ流れ伝うのは
人目を遠ざける業の記し
千度の嘘をついてしまっても
地獄に堕ちたと思えないだろう
映像がそこにはなかったのですが
音も声も無かったのですが
散財されていく感覚を集めていた昨日は
今日を飛ばそうとして失敗しました
ここにある今日に刺されたナイフを抜けず
包丁を買ってくるハメになった
次の朝まで待てないままで
深手を負った今日を背負いもせずに
投げてしまえば軽いまま
明日は彼も馬に乗る
今日は昨日が調子に乗る
ナイフの替えは用意しない
畦道を伝ったいつかの私の鳴き声が
耳に刺さって必要が無いから
選出作品
作品 - 20190508_916_11206p
- [佳] ナイフ一振 - 黒羽 黎斗 (2019-05)
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ナイフ一振
黒羽 黎斗