*
僕はシーソーをしている
春には野糞のような重さがある
*
原発事故が起こった晩
「責任は私にある」と、
心のなかで
はっきりとした言葉で、
ではないが、
君も、僕も、
呟いていた
その距離、
*
僕は君の方へというよりも
水音のほうへ
従順なのは [1]
歩いてきたのだ
歴史的現在に [1]
アンダースロウされた灰が [1]
*
昨日、部屋を出ると日射しが強く、
「こんなに放射線が強くなっている」
と、心の中でつぶやいていた
*
世界への物質的依存だと考えていたものが
世界への精神的依存だったということに
はっきりと気がついたときの心境を
虫ピンで留めたような
夕暮れ
*
[1]「春の日の夕暮」中原中也
選出作品
作品 - 20190502_808_11197p
- [佳] 春の夕暮 - 霜田明 (2019-05)
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春の夕暮
霜田明