夜の間にとぎれた音楽がある
――ピアニストを撃つな
革命歌の記譜をためらうように
ただ黙って立っている事
幾つもの季節がながされた
労働と血のただなか
季節は春、あなたはいないというのに
ラベンダーが今を耐えるように咲いていたね
死の季節を越えて芽吹く花もあるというのに
迸るものを青年期というなら、
絶えて始めてなみだぐむ敗北もあろうか
季節は春――革命は青年達のばら色の絶世のようだ
死んだ者達や蘇らない者達の
声をだれが聞くのか
手紙は誰にあててやぶりすてられたか
言葉は言葉になるまえからあった
ただだれも口になせなかった
だけのことだ
夜の間にとぎれた音楽が死者のように蘇る時
死に逸れた青年達の革命は蘇るだろう
拳銃よりも重く、薔薇よりもただ悲しげに――、
選出作品
作品 - 20190402_462_11146p
- [佳] ひとつのロマンス - 鷹枕可 (2019-04)
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ひとつのロマンス
鷹枕可