あまりの寂しさに
体からスライムを出せるようになった僕は
だれも覗かない自室の中で強張ると
無色透明な粘液に包まれる
まだらに入った気泡になんだかやすらぐ
必然性を含有していないからだろう
生物がいたことのないアクアリウム
地球みたいにぷるぷるゆれている
味も臭いも経験値もないから責めてこない
一切の記憶がこのスライムにはない
ひんやりだけをこころに据えて
欺瞞だとしても浮いていよう
寂しさの代償によって
僕は守られていく
ねとねとしているけれど
くっつきはしない
選出作品
作品 - 20190115_242_11005p
- [優] やわらかいおり - 渡辺八畳@祝儀敷 (2019-01)
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やわらかいおり
渡辺八畳@祝儀敷