Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
tuum est.
それは汝のものなり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
お前の授かりものだ。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
mel
蜂蜜
(研究社『羅和辞典』)
accipe hoc.
これを受けよ。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
蜂窩(ほうか)から取りたての金色の蜜だ。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
tuum est.
それは汝のものなり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
tuo nomine
汝のために
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
dabam.
私は與へたり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
あなたはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である。
(マルコによる福音書一・一一)
わたしは限りなき愛をもってあなたを愛している。
(エレミヤ書三一・三)
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、
(箴言三・一)
聞け、よく聞け、
(シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第五場、大山俊一訳)
もし、汝、その父をかつて愛していたならばーー
(シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第五場、大山俊一訳)
手を伸ばし
(マタイによる福音書一二・一三)
しっかと爪(つめ)を立て
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
わたしを引き裂いて
(哀歌三・一一)
唇に吸うのだ。
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第一部、井上正蔵訳)
蜜はたっぷりある。
est,est,est.
ある、ある、ある。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
というのも、
(プルースト『失われた時を求めて』見出された時、鈴木道彦訳)
わたしの血管には蜜が流れていて、
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
ad imis unguibus usque ad summum verticem
兩足の爪の先より頭の天邊まで
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
脈管の中にみなぎり流れ、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
体のすみずみまで
(シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第五場、大山俊一訳)
ex pleno
満ち溢れて
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
あぶくを立てながら血管をめぐる。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第三部、手塚富雄訳)
ぐるぐる回っている。
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
ああ、この空隙!
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第二部、井上正蔵訳)
この空隙はすっかり満たされるのだ、
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第二部、井上正蔵訳)
costa
肋骨(ろつこつ)
(研究社『羅和辞典』ルビ加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
誰が私を造ったのか。
(アウグスティヌス『告白』第七巻・第三章、渡辺義雄訳)
hoc est corpus meum.
これは私の身體なり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
あらゆるぎざぎざした岩の狭間(はざま)から
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
岩から出た蜜をもってあなたを飽かせるであろう。
(詩篇八一・一六)
costa
肋骨(ろつこつ)
(研究社『羅和辞典』ルビ加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
ubi mel,ibi apes.
蜜のあるところ、そこに蜜蜂あり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
わが胸の蜜窩(みつぶさ)には、無数の蜜蜂どもがうごめいている。
これはわたしの生き物たちだ。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第一部、手塚富雄訳、句点加筆)
胸の奥ふかく
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
心臓の奥の奥まで
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第二部、手塚富雄訳)
わが胸は、蜜蜂たちの棲処(すみか)となっているのだ。
Bienenbeute
蜜蜂の巣
(相良守峯編『独和辞典』博友社)
恐ろしい姿だ。
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
けれども心臓は鼓動している。
(ロートレアモン『マルドロールの歌』第四の歌、栗田 勇訳)
わたしの心臓は喉(のど)までも鼓動してくる。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第三部、手塚富雄訳)
わたしが蜜に欠くことがないように、
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
休みなく活動する
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
apis
蜂、蜜蜂
(研究社『羅和辞典』)
わがむねの、満(み)つるまで、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
行きつ戻りつして、
(トーマス・マン『トニオ・クレーゲル』高橋義孝訳)
この胸に積みかさね、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
あっちこっちと動いている。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳、句点加筆)
ぐるぐる動きまわってる。
(ジョイス『ユリシーズ』6・ハーデス、永川玲二訳)
心臓のひだを暖めてる。
(ジョイス『ユリシーズ』6・ハーデス、永川玲二訳)
でなかったら、どうして鼓動していることだろう。
(ロートレアモン『マルドロールの歌』第四の歌、栗田 勇訳)
心臓の脈管は百と一つある。
(『ウパニシャッドーー死神の秘儀』第六章、服部正明訳)
aorta
大動脈
(研究社『羅和辞典』)
arteriola
小動脈
(研究社『羅和辞典』)
この体の血管の一つ一つ
(シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第四場、大山俊一訳)
わたしの洞窟(どうくつ)に通じている
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
あらゆる血管の中を
(シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第五場、大山俊一訳)
Und immer eins dem andern nach,
あとから、あとから、一匹ずつ通ってゆく。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
おお、わたしの古いなじみの心臓よ、
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
costa
肋骨(ろつこつ)
(研究社『羅和辞典』ルビ加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
わたしの洞窟は広く、深く、多くの隅(すみ)をもっている。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
あちこちの裂目(さけめ)から
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
飛び去る
(ナホム書三・一六)
わたしの生き物たち。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第一部、手塚富雄訳、句点加筆)
口々に
(シェイクスピア『ハムレット』第四幕・第五場、大山俊一訳)
蜜をしたたらせ、
(箴言五・三)
百千の群なして
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
大きな群れとなってここに帰ってくる。
(エレミヤ書三一・八)
たしかに、
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第二部、井上正蔵訳)
恐ろしい姿だ。
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
だが、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
恐れることはない。
(マタイによる福音書二八・一〇)
おまえの父だ!
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第二部、井上正蔵訳)
まさしくわたしなのだ。
(ルカによる福音書二四・三九)
なぜこわがるのか、
(マタイによる福音書八・二六)
this is my body,
これはわたしのからだである。
(マタイによる福音書二六・二六)
手をのばしてわたしのわきにさし入れなさい。
(ヨハネによる福音書二〇・二七)
さあ、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
あなたの指をここにつけて、
(ヨハネによる福音書二〇・二七)
心ゆくばかりさしこむのだ。
(アドルフ・ヒトラー『わが闘争』第二章、平野一郎訳)
costa
肋骨(ろつこつ)
(研究社『羅和辞典』ルビ加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
胸の奥ふかく
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
心臓の奥の奥
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第二部、手塚富雄訳)
私の最も深い所よりもっと深い所に、
(アウグスティヌス『告白』第三巻・第六章、渡辺義雄訳)
いつまでもゆるされず、永遠の罪に定められる
(マルコによる福音書三・二九)
一人の女がいる。
ごらんなさい。これはあなたの母です。
(ヨハネによる福音書一九・二七)
今もなお、
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
わたしの内に宿っている罪である。
(ローマ人への手紙七・二〇)
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、
(箴言二四・一三)
思い出すがよい。
(ルカによる福音書一六・二五)
かつて、
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第二部、井上正蔵訳)
一人の女がこの世に罪をもたらした。
(ジョイス『ユリシーズ』7・アイオロス、高松雄一訳)
culpa
罪
(研究社『羅和辞典』)
culpa
罪
(研究社『羅和辞典』)
culpa
罪
(研究社『羅和辞典』)
罪の数々はよりどりみどり、
(シェイクスピア『ハムレット』第三幕・第一場、大山俊一訳)
ibi
そこに
(研究社『羅和辞典』)
hic
ここに
(研究社『羅和辞典』)
ubicumque
至る所に
(研究社『羅和辞典』)
est,est,est.
あり、あり、あり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、
(箴言二四・一三)
accipe hoc.
これを受けよ。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
罪の増すところには恵みもいや増す。
(ローマ人への手紙五・二〇)
tuo nomine
汝のために
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
わが胸の蜜蜂は、
これを集め、
(ハバクク書一・一五)
これを蜜に変える。
これをみな蜜に変える。
これをみな、ことごとく蜜に変える。
costa
肋骨(ろつこつ)
(研究社『羅和辞典』ルビ加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、
(箴言二四・一三)
思い出すがよい。
(ルカによる福音書一六・二五)
かつて、
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第二部、井上正蔵訳)
一人の男が、蜂の巣のしたたりに手を差しのべた。
腕を差しのべた。
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第一部、井上正蔵訳)
いったい誰なのか。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
汝の父である。
おまえの父である。
わたしは蜜を愛する。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
わたしは手を差しのべた。
わたしは蜜を愛する。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
わたしは手を差しのべた。
わたしは蜜を愛する。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
わたしは手を差しのべた。
ああ、誰かこれをまのあたりにして、
(シェイクスピア『ハムレット』第二幕・第二場、大山俊一訳)
欲しないものがあろうか。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
子よ、
(創世記二七・八)
子よ、
(創世記二七・八)
similis patris
父に似たる
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
わが子よ、
(箴言一・一〇)
proles sequitur sortem peternam.
子は父の運命に随ふ。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
逃れるすべはないのだ。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳、読点加筆)
proles sequitur sortem peternam.
子は父の運命に随ふ。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
逃れるすべはないのだ。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳、読点加筆)
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
est tuum.
それは汝のものなり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
totum in eo est.
全體(すべて)がそれにあり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』ルビ加筆)
costa
肋骨(ろつこつ)
(研究社『羅和辞典』ルビ加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
わたしの洞窟は広く、深く、多くの隅(すみ)をもっている。
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第四・最終部、手塚富雄訳)
胸の奥ふかく
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
心臓の奥の奥
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第二部、手塚富雄訳)
私の最も深い所よりもっと深い所に、
(アウグスティヌス『告白』第三巻・第六章、渡辺義雄訳)
いくつもの脈管がある。
どれも、神の園に通じる道である。
わが胸の蜜蜂は、
これより蜜を携え、
これより蜜を持ちかえることのできる
唯一の生き物である。
costa
肋骨(ろつこつ)
(研究社『羅和辞典』ルビ加筆)
この岩の古い肋骨(あばらぼね)、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳、読点加筆)
suspice et despice.
上を見よ、下を見よ。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
塊(かたま)りが動いて澄(す)んでくる。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
澄(す)んでくる。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
濁(にご)ってはまた澄(す)んでくる。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
澄(す)んでくる。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
る。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
tuum est.
それは汝のものなり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
dabam.
私は與へたり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
お前の授かりものだ。
(ゲーテ『ファウスト』第二部、相良守峯訳)
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
est tuum.
それは汝のものなり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
totum in eo est.
全體(すべて)がそれにあり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』ルビ加筆)
さあ、
(ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳)
唇に吸うのだ。
(ゲーテ『若きウェルテルの悩み』第一部、井上正蔵訳)
恐れることはない。
(マタイによる福音書二八・一〇)
わたしの最上の蜜、
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第二部、手塚富雄訳)
わたしの最上の蜜、
(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第二部、手塚富雄訳)
versatur mihi labris primoribus.
それは私の唇の尖端にあり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
versatur mihi labris primoribus.
それは私の唇の尖端にあり。
(『ギリシア・ラテン引用語辭典』)
選出作品
作品 - 20181203_980_10929p
- [優] 陽の埋葬 - 田中宏輔 (2018-12)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
陽の埋葬
田中宏輔