集合住宅の一室
水道管を裁断機に掛けられた手配紙が流れて行った
固執する、
縦横前後の想像、視野に
私の死が蹲り
遅筆なるがゆえに悍ましい、
抵抗器に、煽動家達が
諸々の咽喉に
既に血塊の翼を緩め
死屍たる椿花樹の爛熟に
――催奇亡霊を嘱望し
――絶望絶慟を倦厭し
――それら領海を愉しみ、
――洗顏室に蓬髪が散らばり
――摘まれた糧と藁束を
――燃焼罐に
墜ちつつ回る椿花を
血婚装束を
視線に拠り静止せしめて
褪彩乾燥花
退褐色のカレイドスコープに
騎馬が
鈍らな錫を瞬き
素焼陶樹に薬莢筒の
破壊された顏貌を、
空襲記録を今なきものと、
改竄機構‐統葬辜、瞭然たる執念を以て硬直死を告げるも忌々し、
国家
統粋主義を顧み
叛趨勢を頼みつつも
興趣、
土地を、
峰を麓を越境線として聯なり
標本箱の汽罐車に
硬像を
蜜蝋蝶を閉じ込め乍
その髄畔を巡撒し已まず
種蒔く指へ地方紙が触れ
喚喚と
飛礫花を繃帯へ
多多滲み樹は樹ならぬ樹花へ
選出作品
作品 - 20181122_782_10911p
- [優] 吸血蝶を呑む - 鷹枕可 (2018-11)
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吸血蝶を呑む
鷹枕可