炎から炎へ石蕗のくきやかな稜線が鬩ぐ様に、
唯一つの銃眼に並ぶ修道尼達が垣間見た現象の緻密な骰子より遁れる様に
死を忘れた
受難者達、
縺れ縺れた
その褪紅套を夥多凱旋門に杭打たれ
翼人磔刑令の真昼、
青年撓う高跳びの背より
高く飛べぬ
想像の死、
萵苣の鈍血鋼を摘み怨讐を来す
痴人よ、
一世紀毎に血の成果を滴らす、歴史を、
隠匿を
鳩と橄欖は帰らぬ、
総ての喫水煙草、
姿勢は
且て建築を期された
第三国際記念塔の断腸であり、
鉄の嬰児
赤い鋳銅像を
疾駈する想像を視野に価しない
敬虔な華、
鬩ぎ止まぬ死後の未踏線を跨ぐ
脳髄殻への苦悶、愉悦饗鳴
私は外の私を呼ぶが、
私は堰き抑えられた擬膠トルソの様に
硬化胸骨を程無くして開く
喚製静物に遺棄を為されて終い、
普遍‐稀覯に
確たる帰結としての時間、
死が読めなくなり群衆を
俯瞰図に
壊乱し続けているのを、
野棲薔薇を已み頻る振動管、
鉛管振る少年、
遂に自らがドゥーブルの私製児たる冥鏡象より
随腑を略奪するも、
選出作品
作品 - 20181106_115_10879p
- [佳] 死物 - 鷹枕可 (2018-11)
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死物
鷹枕可