選出作品

作品 - 20181105_038_10877p

* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。


ケルンのよかマンボウ。あるいは 神は 徘徊する 金魚の群れ。

  田中宏輔



きのう、ジミーちゃんと電話で話してて
たれる
もらす
しみる
こく
はく
さらす
といった
普通の言葉でも
なんだかいやな印象の言葉があるねって。
そんな言葉をぶつぶつと
つぶやきながら
本屋のなかをうろうろする。
ってのは、どうよ! 笑。
ぼくの金魚鉢になってくれる?
虫たちはもうそろそろ手足を伸ばして
うごめきはじめているころだろう。
不幸は一人ではやってこないというが
なにものも、ひとりではやってこない。
なにごとも、ただそれだけではやってこないのである。
絵に描いたような絵。
わたしの神は一本の歯ブラシである。
わたしの使っている歯ブラシが神であった。
神は歯ブラシのすみずみまで神であった。
主婦、荒野をさ迷う。
きのう見た光景をゲーゲー吐き戻してしまった。
暴れまわる母が、一頭の牛に牽かれてやってきた。
兄は、口に出して考える癖があった。
口から、コップやコーヒーや
スプーンやミルクや
文庫本やフロイトや
カーネル・サンダースの人形や英和辞典を
ゲロゲロ吐き出して考えていた。
壁は多面体だった。
一つ一つ、すべての壁面に印をつけていくと、
天井と床も入れて、二十四面あった。
二十四面のそれぞれの壁に耳をくっつけて
それぞれの部屋の音を聞くと
二十四面のそれぞれの部屋の音が聞こえてきた。
5かける5は25だった。
ぼくの正義のヤリは、ふるえていた。
どうして、ぼくのパパやママは、働かなくちゃならないの?
子供たちの素朴な疑問に、ノーベル賞受賞者たちが答える。
という文庫本があった。
友だちのジミーちゃんは、こういった。
悪だからである。
たしかに、楽園を追放されることにたることをしたのだから。
やっぱり、ぼくの友だちだ。
すんばらしい。
エレベーターが
スコスコッと、前後左右上下、
斜め、横、縦、縦、横、斜め、横、にすばやく移動する。
わたしの記憶もまた
スコスコッと、前後左右上下、
斜め、横、縦、縦、横、斜め、横、にすばやく移動する。
ぼくの金魚鉢になってくれる?
草原の上の
ビチグソ。
しかもクリスチャン。笑。
それでいいのかもね。
そだね。
行けなさそうな顔をしてる。
道路の上の赤い円錐がジャマだ。
百の赤い円錐。
スイ。
神は文字の上にいるのではない。
文字と文字の間なのね。
印刷された文字と文字の間って
紙のことなのね。
一ミリの厚さにも満たない薄い薄い紙のこと。
神は紙だから
って。
神さまは、前と後ろを文字文字に呪縛されて
ぎゅうぎゅう
もうもう
牛さん、飴さん、たいへん
ぼく。
携帯で神に信号を発する。
携帯を神に向けてはっしん。
って
ぎゃって
投げつけてやる。
ぼくは、頭をどんどん壁にぶつけて
神さまは、頭が痛いって
ぼくは、頭から知を流しつづける。
血だ
友だちのフリをする。
あのとき
看護婦は、ぼくのことを殴った
じゃなく
しばいた。
ぼくの病室は、全身で泣いて
ぼくの涙が悔しくて
スリッパを口にくわえて
びゅんびゅん泣いていた。
ああ、神さまは、ぼくがほんとうに悲しんでいるのを見て
夕方になると
金魚の群れが空にいっぱい泳いでた。
神さまは、ぼくの肩を抱いて
ぼくをあやしてくれた。
ぼくは全身を硬直させて
スリッパで床を叩いて
看護婦が、ぼくの腕に
ぼくの血中金魚度が低いから
ぼくに金魚注射した。
金魚は、自我をもって
ぼくの血液の中を泳ぎ回る。
ていうか、それって
自我注射?
自我注釈。
自我んだ。
違った。
ウガンダ。
どのページも
ぼくの自我にまみれて、ぐっちょり
ちょりちょり
チョチョリ、チョリ。
あ、そういえば
店長の激しい音楽。
マリゲ。
マルゴ。
まるぐんぐ。
マルス。
マルズ。
まるずんず。
ひさげ。
ひさご。
ひざずんずっ。
びいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
あるいは 神は 徘徊する 金魚の群れ。
きょうは休日だというのに
一日中、病室にいた。
病室の窓を見上げてたら
空の端に
昼間なのに、月が出ていた。
きょとんとしたぼくの息が
病室の隣のひとを
ペラペラとめくっては
どのページに神が潜んでいるのか
探した。
思考は腫瘍である。
わたしの脳髄ができることの一つに
他者の思考の刷り込みがある。
まあ、テレパシーのようなものであるが
そのとき、わたしの頭に痛みがある。
皮膚に走る電気的な痛みともつながっているようである。
頭が痛くなると同時に、肘から肩にかけて
ビリビリ、ビリビリ

きゅうは、とてつもなく痛い。
いままでは、頭の横のところ
右側の方だけだったのに
きょうは、頭の後ろから頭の頂にかけて
すっかり痛みに
痛みそのものになっているのだ。
さあ、首を折り曲げて
これから金魚注射をしますからね。
あなたの血中金魚濃度が低くて
さあ、はやく首を折り曲げて
はやくしないと、あなたの血管が金魚不足でひからびていきますよ。
あさ、パパ注射したばかりじゃないか。
きのうは、ママ注射したし
ぐれてやる。
はぐれてやる。
かくれてやる。
おがくれる。
あがくれる。
いがくれる。
うがくれる。
えがくれる。
街は金魚に暮れている。
つねに神は徘徊する、わたしの死んだ指たちの間で。
もくもくと読書する姿が見える。
そのときにもまた
ぼくの死んだ指の間で、神が徘徊しているのだ。
ぼくは、もくもくと読書している。
図書館で
ぼくは、ひとりで読書する少年だったのだ。
四年生ぐらいだったかな。
ぼくは
なんで地球が自転するのかわからない
って本に書かれてあるのにびっくりして
本にもわからないことがあるのだと
不思議に思って
その本が置いてあったところを見ると
書棚と書棚の間から
死んだパパそっくりの神さまが
ぼくの方を見てるのに気がついた。
すると
ぼくの身体は硬直して
ぼくは気を失っていた。
ぼくが気を失っていたあいだも
ぼくの死んだ指の間を神は徘徊していた。
地球がなんで自転しているのかって
それからも不思議に思っていたのだけれど
だれもわからないのか
ぼくが、この話をしても
神さまが、ぼくの指の間から
ぼくのことを見張っている。
ぼくの死んだ指は神さまに濡れて
血まみれだった。
憎しみの宴が
ぼくの頭のなかで催されている。
きょうは、一晩中かもしれない。
額が割れて
死んだ金魚たちがあふれ出てきそうだ。
頭が痛い。
割れて、死んだパパやママがあふれ出てくるのだ。
ぼくは、プリン。
ぼくの星の運命は
百万光年の
光に隠されている。
光に隠されている。
いいフレーズだな。
影で日向ぼく。
ぼっこじゃなくて
ぼくがいいかな。
日向ぼく。
で、
影で日向ぼっこ。
ぼっこって
でも、なんだろ。
ぼくの脳髄は 百のぼくである。
じゃなく、
ぼっこ。
じゃなく、
ぼこ。
リンゴも赤いし、金魚も赤いわ。
リンゴでできた金魚。
金魚でできたリンゴ。
金ゴとリン魚。
リンゴの切断面が
金魚の直線になっている。
死んでね、ぼくの指たち。
ルイルイ♪
楽しげに浮かび漂う、ぼくの死んだ指たち
神の指は、血まみれの幸運に浸り
ぼくの頭のなかの金魚を回す。
トラベル
フンガー
血まみれの指が
ぼくを作り直す。
治してね。
血まみれのプールに
静かに
ゴーゴーと
泳ぎ回る  
死んだぼくの金魚たち。
ぼくの頭のなかをぐるぐるまわる
倒壊したパパの死体や
崩れ落ちたママの死体たち。
なかよく踊りまちょ。
神は、死んだパパやママの廃墟を徘徊する。
リスン・トゥー・ザ・ミュージック!
ぼくの廃墟のなかで、死んだパパやママが手に手をとって踊る。
手のしびれが、金魚の指のはじまりになるまで。
その間も、ずっと、ママは、金魚をぼくの頭のなかでかき回している。
重たい頭は、ぼくの金魚がパクパク、パクパク死んでいる。
指が動きにくいのは
自我が、パクパクしているからだぞ。
ああ、たくさんのパクパクしている、ぼくの自我たち。
人差し指の先にも自我がある。
自我をひとに向けてはいけないと、ママは言った。
さあ、みんな、この自我にとまれ!
ギコギコ、ギーギー
ギコギコ、ギーギー
ね、ママ。
ぼくのママ、出てきちゃ、ダメ。
さっき
鳥が現実感を失う
とメモして
すると
ぼくは、アニメのサザエさんの書割の
塀の横を歩いていた。
問いを待つ答え。
問いかけられもしないのに
答えがぽつんと
たたずんでいる。
はじめに解答ありき。
解答は、問いあれ、と言った。
すると、問いがあった。
ぶさいくオニオン。
ヒロくんの定食は
焼肉だった。
チゲだっておいしいよ。
キムチだっておいしいよ。
かわりばんこの
声だ。
ぼくは
ヒロくんの声になって
坐ってる。
十年
むかしの
ゴハン屋さんで。
この腕の
縛り痕。
父親たちの死骸を分け合う、ぼくのたくさんの指たち。
ああ
こんなにも
こんなにも
ぼくは、ぼくに満ちあふれて。
戦線今日今日。
戦線今日今日。
あの根、ぬの根
カンポの
木の
根。
名前を彫っている。
生まれ変わったら
何になりたい?
うううん、
べつに。
花の精でもいいし
産卵する蛾でもいいよ。
あ、
べつに
産卵しない蛾でも。
大衆浴場。
湯船から
指を突き出し
ヘイ
カモン!
詩人の伝記が好き。
詩人の詩より好きかも。
詩人の出発もいいけど
詩人のおしまいの方がいいかな。
不幸には
とりわけ
耳を澄ますのだ。
ぼくのなかの
声が。
ああ、
聞こえないではないか。
そんなに遠く離れていては。
ぼくのなかの
声が
耳を済ます。
耳を澄ます。
じりじりと
耳を澄ます。
ぼくのなかの
声が
耳を済ます。
耳が沈黙してるのは
ぼくの声が離れているからか。
ああ、
聞こえないではないか。
そんなに遠く離れていては。
もう詩を書く人間は、ぼく一人だけだ、と。笑。
ぼくの口の中は、たくさんの母親たちでいっぱいだ。
抜いても、抜いても生えてくる
ぼくの母親たち。
ぼくは黄ばんだパンツの
筋道にそって歩く
その夜
黄ばんだパンツは
捨てられた。
若いミイラが
包帯を貸してくれるっていって
自分の包帯をくるくる
くるくる
はずしていった。
若竹刈り。
たけのこかい!
木の芽がうまい。
ほんまやな。
せつないな。
ボンドでくっつくけた
クソババアたち
ビルの屋上から
数珠つなぎの
だいぶ
だいぶ
死んだわ。
おだぶつさん!
合唱。
あ、
合掌。
だす。
バナナの花がきれいだったね。
きれいだったね。
ふわふわになる
喜んで走り回ってた
棺のなかに入ったおばあちゃんを
なんで、だれも写真にとらなかったんだろう?
おばあちゃんは、とってもきれいだったのに。
生きてるときより、ずっときれいだったよ。
ぼくのおばあちゃんの手をひっぱって
ぼくのおばあちゃんを棺のなかに入れたのは
ぼくだった。
ばいばい
って、してみたかったから。
いつも、おばあちゃんに
ばいばいって
してたけど、
ほんとのばいばいがしたかったんだ。
ふわふわになる
おばあちゃん。
二段か、三段。
土間の上にこぼれた
おかゆの湯気が
ぼくの唇の先に
触れる。
光の数珠が、ああ、おいちかったねえ。まいまいつぶれ!
ウサギおいしい。カマボコ姫。チュッ
歯科医は
思い切り力を込めて
ぼくの口の中の
母親をひっこぬいた。
父親は
ペンチで砕いてから、ひっこぬいた。
咳をすると
ぼくじゃないと思うんだけど
咳の音が
ぼくの顔の前でした。
咳の音は
実感をもって
ぼくの顔の前でしたんだけど
ぼくのじゃない
ただしい死体の運び方
あるいは
妊婦のための
新しい拷問方法。
かつて
チベットでは
夫を裏切った妻たちを拷問して殺したという。
まあ、インドでは
生きたままフライパンで焼いたっていうから
そんなに珍しいことではないのかもしれないけれど。
こうして、ぼくがクーラーのかかった部屋で
友だちがくれたチーズケーキをほおばりながら
音楽を聴きながら
ふにふに書いてる時間に
指を切断されたり
腹を裂かれて
腸を引きずり出されたりして
拷問されて苦しんでる人もいるんだろうけど。
かわいそうだけど
知らないひとのことだから
知らない。
前にNHKの番組で
指が机の上にぽろぽろ
ぽろぽろ
血まみれの指が
指人形。
ぼくの右の人差し指はピーターで
ぼくの左手の人差し指は狼だった。
ソルト
そーると
ソウルの街を
電車で移動。
おまえは東大をすべって
ドロップアウトして
そのまま何年も遊びたおして
ソウルの町を電車で移動。
耳で聴いているのは
ずっと
ジャズ。
ただしい死体の運び方。
あるいは
郵便で死体を送りつける方法について
学習する。
切手で払うのも大きい。
小さい。
デカメロン。
ただしく死体と添い寝する方法。
このほうが、お前にふさわしい。
おいしいチーズケーキだった。
きょう、いちばんの感動だった。
河原町の街角から
老婆たちが
ぴょんぴょん跳ねながらこちらに向かってくる。
お好みのヴァージョンだ。
神は疲れきった身体を持ち上げて
ぼくに手を伸ばした。
ぼくは、その手を振り払うと、神の胸をドンと突いてこういった。
立ち上がれって言われるまで、立ち上がったらダメじゃん。
神さまは、ぼくの手に突かれて、よろよろと
そのまま疲れきった身体を座席にうずめて
のたり、くたり。
か。
標準的なタイプではあった。
座席のシートと比較して
とくべつおいしそうでも、まずそうでもなかった。
ただ、しょっぱい。
やっぱり。
でっぱり。
でずっぱり。
神の顔にも蛆蝿が
老婆たちの卵を産みつける。
老婆たちは、少女となって卵から孵り
雛たちは
クツクツと笑うリンゴだ。
どんな医学百科事典にも載っていないことだけど。
植物事典には載ってる。
気がする。
か。
おいしい。しょっぱい。
か。
ぼくの顔面をゲートにして
たくさんの少女と老婆が出入りする。
ぼくの顔面の引き攣りだ。
キキ、
金魚!
アロハ
おえっ
老婆はすぐに少女になってしまって
口のなかは、死んだ少女たちでいっぱいになって
ぼくは、少女たちの声で
ヒトリデ、ピーチク・パーチク。
最初の話はスラッグスの這い跡で
夜の濡れた顔だった。
そういえば、円山公園の公衆トイレで首を吊って死んだ男と
御所の公衆トイレで首を吊って死んだ男が同一人物だという話は
ほんとうだった。
男は二度も死ねたのだ。
ぼくの身体の節々が痛いのは、なかなかなくならない。
こんど病院に行くけど
呪術の本も買ってこよう。
いやなヤツに痛みをうつす呪術が、たしかにあったはずだ。
ぴりぴり。
ぴかーって、
光線銃で狙い撃ち!
一リットルの冷水を寝る前に飲んだら
ゲリになっちゃった。
ぐわんと。
横になって寝ていても、少女の死体たちが
ぼくの口のなかで、ピーチク・パーチク。
ぴりぴり。
ぴかーっと。
たしか、首を吊った犬の苦しむ顔だった。
紫色の舌を口のなかからポタポタたれ落として
白い泡はぶくぶくと
徒然草。
小さいものはかわいらしいと書いてあった。
小さな少女の死はかわいらしい。
ってこと?
ぼくの口のなかの死体たちが、ピー地区・パー地区。
ふふ。
大きな棺に入った大きな死体もかわいらしい。
筆箱くらいの大きさの少女たちの死体がびっしり
ぼくの口のなかに生えそろっているのだ。
ようやく、ぼくにもわかってきたのだ。
ぼくのことが。
今晩も、寝る前に冷水を1リットル。
けっ。
あらまほしっ、きっ
ケルンのよかマンボウ。
ふと思いついたんだけど
帽子のしたで
顔が回転している方が面白い。
頭じゃなくて
正面の顔が
だよん。
アイスクリーム片手にね。
アイスクリームは
やっぱり
じょっぱり
しょうが焼き。
春先に食べた王将のしょうが焼き定食は
おいちかった。
ぼく、マールボロウでしょう?
話の途中で邪魔すんなよ。
ぼく、マールボロウだから
デジカメのまえで
思わずポーズきめちゃった。
クリアクリーン。
歯磨きの仕方が悪くって
死刑!
ガキデカのマンガは、いまなかなか見つからない。
わかんない。
井伊直弼。
って、スペリング、これでいい?
って。
てて。
いてて。
てて。
ぼく、井伊直弼
ちゃうねん
あつすけだよん。
って。
鋼(はがね)の月は
ぎいらぎら。
リトル・セントバーナード
ショウ
人生は
演劇以上に演劇だ。
って
べつに
言ってるか、どうかなんて
言わない。
ちいいいいいい
てるけどね。
ケッ。
プフッ。
ケルンのよかマンボウ。
ぼーくの
ちぃーって

けー
天空のはげ頭
(
ナチス・ドイツ鉄かぶと製の
はげカツラが、くるくると回転する。
頭皮にこすれて、血まみれギャーだった。
ふにふに。
空飛ぶ円盤だ!
このあいだ、サインを見た。
登場人物は、みんな霊媒だった。
十年前に賀茂川のほとりで
無数の円盤が空をおおうようにして飛んでるのを
友だちと眺めたことがあった。
友だちは、とても怖がっていたけど
ぼくは、怖くなかった。
友だちは、ぼくに
円盤見て、びっくりせいへんの?
って言ってたけど。
ぼくは、
こんど、ふたりで飲みに行きましょうね
って言われたほうが
びっくりだった。
いやっ
いやいや、
やっぱり、暴れまわる大きな牛を牽いてやってくる
一頭の母親の方が怖ろしいかな。笑。
どうしてるんだろう。
ぼくの口のなかには、母親たちの死んだ声がつまってるっていうのに
ぼくの耳のなかでは、その青年の声が叫びつづけてるんだ。
だから、インテリはいやなんやって
カッチョイイ、あの男の子の声が
ああ、これは違う声か。
違う声もうれしい。
ぼくの瞼の引き攣りは
ヒヒ
うつしてあげるね。
神経ぴりぴり。
血まみれ
ゲー

うつしてあげるね。

しゅてるん。
知ってるん?
ユダヤの黄色い星。
麻酔なしの生体解剖だって。
写真だったけど
思い出しただけで
ピリピリ
ケラケラ
ケセラセラー。
あい・うぉん・ちゅー
あらまほしぃ、きいいいいいい
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ひねもす、のたりくたり。
ぼくの詩を読んで死ねます。
か。
ひねもすいすい
水兵さんが根っこ買って
寝ッ転がって
ぐでんぐでん。
中心軸から、およそ文庫本3冊程度ぶんの幅で
拡張しています。
か。
ホルモンのバランスだと思う。
か。
まだ睡眠薬が効かない。
か。
相変らず役に立たない神さまは
電車の
なかで
ひねもす、のたりくたり。
か。
ぼくは、疲れきった手を
吊革のわっかに通して
くたくたの神を
見下ろしていた。
か。
おろもい。
か。
飽きた。
か。
腰が痛くなって
言いたくなって
神は
あっくんの手を
わっかからはずして
レールの上に置きました。
キュルルルルルルって
手首の上を
電車が通りすぎていくと
わっかのなかから
無数の歓声が上がりました。
か。
日が変わり
気が変わり
神は
新しいろうそくを
あっくんの頭の上に置いて
火をつけました。
か。
なんべん死ぬねん!
か。
なんべんもだっち。
(ひつこい轍。)
銃の沈黙は
違った
十の沈黙は
うるさいか。
とか。
沈黙の三乗は
沈黙とは単位が違うから
もう沈黙じゃないんじゃないか。
とか、
なんとか、かんとか
ヤリタさんと
荒木くんと
くっちゃべり。
ぐっちゃべり。
ええ
ええ
それなら
ドン・タコス。
おいちかったね。
いや、タコスは食べなかった。
タコライス食べたね。
おいちかったね。
ハイシーン。
だっけ。
おいちかった。
サーモンも
おいちかった。
火の説教。
痩せた手のなかの
コーヒーカップは
劫火。
生のサーモンもカルパッチオ!
みゃぐろかなって言って
ドン・タコス。
ぱりぱりの
ジャコ・サラダは
ぐんばつだった。笑。
40過ぎたおっさんは
ぐしょぐしょだった。
いや、くしゃくしゃかな。
これから
ささやかな
葬儀がある。
目のひきつり。
だんだん。
欲しいものは手に入れた。
押し殺した悲鳴と
残忍な悦び。
庭に植えた少女たちが
つぎつぎと死んでいく。
除草剤をまいた
痩せた手のなかの
あたたかいコーヒーカップは
順番が違うっちぃっぃいいいいいい!
あっくんの頭の上のろうそくが燃えている。
死んだ魚のように
顔面の筋肉は硬直して
無数の蛆蝿が
卵を産みつけていく。
膿をひねり出すようにして
あっくんは卵を産んだ。
大統領夫人が突然マイクを向けられて
こけた。
こけたら、財布が出てきた。
財布は、マイケルの顔に当たって
砕けた。
マイケルの顔が、笑。
笑えよ。
ブフッ。
あっくんの頭の上で燃えているろうそくの火は
しょっぱい。
そろそろ眠る頃だ。
睡眠薬を飲んで寝る。
噛み砕け!
顔面に産みつけられた
蛆蝿たちの卵を孵す。
あっくんの頭の上で燃えているろうそくの火は
しょっぱい。
(ひつっこい、しょっぱさだ。笑。)
前の職場で親しかったドイツ語の先生は
バーテンダーをしていたことがあると言ってた。
バーテンダーは、昼間は
玉突きのバイトをしていた
青年がいた。
ぼくが下鴨にいたころだ。
といっても、ぼくが26、7才のころだ。
九州から来たという
青年は二十歳だった。
こんど、ふたりっきりで飲みましょうねって言われて
顔面から微笑みが這い出してきて
ぽろぽろとこぼれ堕ちていった。
まるで
蛆蝿の糞のように。
笑えよ。

とうもろこし頭の
彼は
ぼくのなかで
一つの声となって
迸り出ちゃったってこと。
詩ね。
へへ、
死ね!

乾燥した
お母さんが
出てきたところで
とめる。
釘抜きなんて
生まれて
まだ十回も使ったことがないな。
ぼくの部屋は二階で
お母さんは
縮んで
釘のように
階段の一段一段
すべての踏み段に突き刺さっていたから
釘抜きで抜く。
ぜんぶ抜く。
可能性の問題ではない。
現実の厚さは
薄さは、と言ってもよいが
ぼろぼろになった
筆の勢いだ。
美しい直線が
わたしの顔面を貫くようになでていく。
滅んでもいい。
あらゆる大きさの直線でできた
コヒ。
塑形は
でき
バケツで
頭から血を流した
話を書こうと思うんだけど
実話だから
話っていっても
ただ
バケツって
言われたから
バケツをほっただけなんだけど
手がすべって
パパは頭から血を流した。
うううん。
なんで
蟹、われと戯れて。
ひさびさに
鞍馬口のオフによる。
ジュール・ベルヌ・コレクションの
海底二万哩があった。
きれいな絵。
500円。
だけど、背が少し破けてるので、惜しみながらも
買わず。
ブヒッ。
そのかわり
河出書房の日本文学全集3冊買った。
1冊105円。
重たかった。
河出新刊ニュースがすごい。
もう何十年も前の女優の
若いころの写真がすごい。
これがほしくて買ったとも言える。笑。
でも、何冊持ってるんだろう。
全集の詩のアンソロジー。
このあいだの連休は
詩を書くつもりだったけど、書けなかった。
蟹と戯れる
啄木
ではなく
ぼく
でもなく
ママ。

思ふ。
ママは
蟹の
巨大なハサミにまたがって
ビッビー
シャキシャキッと
おいしいご飯だよ。
ったく、ぼく。
カンニングの竹山みたいな
怒鳴り声で
帰り道
信号を待ってると
いや、信号が近づいてくるわけじゃなく
信号が変わる
じゃなく
信号の色が
じゃなく
電灯のつく場所がかわるのを待ってたんだけど
信号機が
カンカンなってた
きのうのこと
じゃなくて
きょうのこと
ね。
啄木が
ぼくの死体と戯れる。
さわさわとざらつく
たくさんのぼくの死体を
啄木が
波のように
足の甲に
さわっていくのだ。
啄木は
ぼくの死後硬直で
カンカンになった
カンカン鳴ってたのは
きのうの夜更けだ。
二倍の大きさにふくらんだ
ぼくの腐乱死体だ。
だから行った。
波のように
啄木の足元に
ゴロンゴロン横たわる
ぼくの死体たち。
蟹、われと戯れる。
いたく、静かな
いけにえの食卓。
ぽくぽく。
ったく、ぼく。

啄木。
ふがあ
まことに
人生は
一行の
ボードレールである。
ぼくの腕 目をつむるきみの重たさよ
狒狒、非存在たることに気づく、わっしゃあなあ。
木歩のことは以前に
書いたことがある。
木歩の写真を見ると思い出す。
関東大震災の日に
えいじくんが
火炎のなかで、教授に怒鳴られて
ぼくの部屋で
雪合戦。
手袋わざと忘れて。
もう来いひんからな。
ストレンジネス。
バタンッ!
大鴉がくるりと振り向き
アッチャキチャキー
愛するものたちの間でもっともよく見られる衝動に
愛するものを滅ぼしたいという気持ちがある。
関東大震災の日に
えいじくんが
ぼくと雪合戦。
ヘッセなら
存在の秘密というだろう。
2001年1月10日の日記から抜粋。
夜、ヤリタさんから電話。
靴下のこと。
わたしの地方では、たんたんていうの思い出したの。
靴下をプレゼントしたときには気づかなかったのだけれど。
とのこと。
客観的偶然ですね。

ぼく。
いま考えると
客観的偶然ではなかったけれど、
たんたん。
ね。
ぼくのちっぽけな思い出だな。
ちっぽけなぼくの思い出、ね。
笑。
金魚が残らず金魚だなんて
だれが言った!
原文に当たれ
I loved the picture.
べるで・ぐるってん
世界は一枚の絵だけ残して滅んだ。
どのような言葉を耳にしても
目にしても
詩であるように感じるのは
ぼくのこころが、そう聞こえる
そう見える準備をしているからだ。
それは、どんな言葉の背景にも
その言葉が連想させる
さまざまな情景を
たくさん、もうたくさん
ぼくのこころが重ね合わせるからだ。
詩とはなにか?
そういったさまざまな情景を
(目に見えるものだけではない)
重ね合わそうとするこころの働きだ。
部長!
笑。
笑えよ。
人生は一行の
ボードレールにしか過ぎない。
笑。
笑えよ。
そうだったら、すごいことだと思う。
笑。
仲のよい姉妹たちが
金魚の花火を見上げている。
夜空に浮かび上がる
光り輝く、真っ赤な金魚たち。
金魚が回転すると冷たくなるというのはほんとうだ。
どの金魚も
空集合。
Φ。
2002年1月14日の日記から抜粋。
(ああ、てっちゃんのことね。)
いままで見た景色で、いちばんきれいだと思ったのはなに?
カナダで見たオーロラ。
カナダでも見れるの?
うん。北欧でも見れるけど。
どれぐらい?
40分くらいつづくけど
20分くらいしか見られへん。
どうして?
寒くて。
寒くて?
冷下30度以下なんやで。
ギョギー、目が凍っっちゃうんじゃない?
それはないけど。
海なら、どこ?
パラオ。
うううん、だけど、沖縄の海がいちばんきれいやったかな。
まことに
人生は
一行のボードレールである。
快楽から引き出せるのは快楽だけだ。
苦痛からは、あらゆるものが引き出せる。笑えよ。
この世から、わたしがいなくなることを考えるのは、
それほど困難なことでも怖ろしいことでもないのだけれど
なぜ、わたしの愛するひとが、
この世からいなくなることを考えると、怖ろしいのか。
しゃべる新聞がある。
手から放そうとすると
「まだまだあるのよ、記事が。」
という。
キキ
金魚!
悲しみをたたえた瞳を持って牛たちが歩みくる。
それは本来、ぼくの悲しみだった。
できたら、ぼくは新しい悲しい気持ちになりたかった。
夕暮れがなにをもたらすか?
仮面をつける。
悲しみをたたえた瞳を持って牛たちが歩みくる。
それは言葉のなかにないのだから
言葉と言葉のあいだにあるものだから
から
か。
わが傷はこれと言いし蟻 蟻をひく
Soul-Barで
Juniorの
Mama Used Said
はやりの金魚をつけて、お出かけする。
あるいは、はやりの金魚となって、お出かけする。
石には奇形はない。
記憶のすべてとは?
記憶とは、想起されるものだけ?
想起されないものは?
一生の間、想起されずに
でも、それが他の記憶に棹さして
想起せしめることもあるかもしれない。
どこかに書いたことがあるけど
いつか想起されるかもしれないというのは
いつまでも想起されないこととは違うのかな?
習慣的な思考に、とはすでに単なる想起にしかすぎない。
金魚のために
ぼくは、ぼくのフリをやめる。
矢メール。
とがらした鉛筆を喉に突きつけて
両頬で締め付ける。
ぼくだけの愛のために。
ストラップは干し首。
ぼくの恋人の金魚のために
夜毎本を手にして
人間狩りに出かける。
声が
そんなこととは、とうてい思え!
夜毎、レイモンド・ラブロックは
壁にかかった
恋人の金魚に
声が
知っている。
きのう、フランク・シナトラのことを思い出していた。
新しい詩が書けそうだ、ということ。
うれしいかなしい。
金魚、調子ぶっこいて、バビロン。
タスマニアの少年のペニスは、ユリの花のようだったと
金魚、調子ぶっこいて、バビロン。
枯山水の金魚が浮遊する。
いたるところ
金魚接続で
いっぴきぴー。
と、
いたるところ
金魚接続で
にっぴきぴー。
と、
いたるところ
金魚接続で
さんぴきぴー。
と、
ス、来る。
と、ラン、座ぁ。
匹ぃー。
XXX
二rtgh89rtygんv98yんvy89g絵ウhg9ウ8fgyh8rtgyr8h地hj地jh地jfvgtdfctwdフェygr7ウ4h地5j地54ウy854ウ7ryg6ydsgfれjんf4klmgl;5、yhp6jl^77kじぇ^yjhw9thjg78れtygf348yrtcvth54ウtyんv5746yんv3574ytんc−498つcvん498tんv498yんt374y37tyん948yんrt6x74rv23c47ty579h8695m9rつbヴァ有為ftyb67くぇ4r2345vjちょjkdypjkl:h;lj、帆印b湯fttrゑytfでtfryt3フェty3れ76t83ウrgj9pyh汁9kjtyj彫る8yg76r54cw46w6tv876g643エgbhdゲう7h9pm8位0−『mygbfy5れうhhんg日htgyん;ぃm:drs6ゑs364s3s34cty日おじjklj不khjkcmヴィfhfgtwfdtwfれswyツェdぎぃウェってqqsnzkajxsaoudha78絵rゑ絵bkqwjでyrg3絵rgj家f本rbfgcぬ4いthbwやえあfxkうぇrjみうryんxqw
ざ、が抜けてるわ。金魚、訂正する。
性格に言えば、提供する。
時計の針で串刺しの干し首に
なまで鯛焼き。
目ゾット・ふい。
赤い色が好きだわ。
と、金魚が逝った。
ぼくも好きだよ。
とジャムジャムが答えた。
あなたはもっと金魚だわ、
と金魚が逝った。
きみだって、だいたい金魚だよ、
とジャムジャムが答えた。
ふたりは、ぜんぜん金魚だった。
大分県の宿屋の大づくりの顔の主人が振り返って逝った。
も一度死んでごらん。
ああ、やっぱりパロディはいいね。
書いてて、気持ちいいね。
打っててかな。
注射は打ったことないけど。
あ、打たれたことあるけど。
病院で。
暴れる金魚にブスっと。
あのひとの頬は、とてもきれいな金魚だった。
聖書には、割れたざくろのように美しいという表現があるけど
あのひとの身体は
割れた金魚のように美しいとは
言え。
まるまると太った金魚が、わたしを産む。
ブリブリブリッと。
まるまると太った金魚が、わたしを産む。
ブリブリブリッと。
オーティス・レディングが、ザ・ドッグ・オブ・ザ・ベイを
ぼくのために歌ってくれていたとき
ぼくの金魚もいっしょに聞きほれていた。
ニャーニャー闇ってる。
ひどい闇だ。
新しい詩は、形がすばらしい。
ぼくはきのう
おとついかもしれない。
最近、記憶がぐちゃぐちゃで
きのうと、おとついが
ぼくのなかでは、そうとう金魚で
出かかってる。
つまずいて
喉の奥から
携帯を吐き出す。
突然鳴り出すぼくの喉。
無痛の音楽が
ぼくの携帯から流れ出す。
無痛の友だちや恋人たちの声が
ぼくの喉から流れ出す。
ポン!
こんなん出ましたけど。
ジョニー・デイルの右手に握られた
単行本は、十分に狂気だった。
狂気ね。
凶器じゃないのかしらん? 笑。
まるまると太った金魚が、わたしを産んでいく。
ブリブリブリッと。
まるまると太った金魚が、わたしを産んでいく。
ブリブリブリッと。
そこらじゅうで
金魚、日にちを間違える。
もう一度。
ね。
moumou と sousou の
金魚。
moumou と sousou の
金魚。
金魚が、ぼくを救うことについて
父子のコンタクトは、了解。
これらのミスは、重大事件に間違い。
バッカじゃないの?
わかった。
歴史のいっぱい詰まった金魚が禁止される。
金魚大統領はたいへんだ。
もう砂漠を冒険することもできやしない。
してないけど。笑。
冒険は、金魚になった
広大な砂漠だった。
モニターしてね。笑。
こういうと、二千年もの永きにわたって繁栄してきた
わが金魚テイク・オフの
過去へのロッテリア。
金魚学派のパパ・ドミヌスは
ぼくに、そうっと教えてくれた。
金魚大統領の棺の
肛門の
栓をひねって
酔うと、
ぼくは金魚に生まれ変わった扇風機になる。
冷たい涼しい。
金魚のような
墓地。
ぼくの
moumou と sousou の
金魚たち。
いつのまにか、複製。
なんということもなく
ぼくを吐き出す
金魚の黄色いワイシャツの汚れについて
おぼろげながら
思い出されてきた。
二十分かそこらしたら
扇風機が、金魚のぼくを産む。
びぃよるん、
ぱっぱっと。
ぼくを有無。
ふむ。
ムム。
ぷちぷちと
ぼくに生まれ変わった黄色いワイシャツの汚れが
砂漠をかついで
魔法瓶と会談の約束をする。
階段は、意識を失った幽霊でいっぱいだ。
ぼくの指は、死んだ
金魚の群れだ。
ビニール製の針金細工の金魚が
ぼくの喉の奥で窒息する。
苦しみはない。
金魚は
鳴かないから。
金魚のいっぱい詰まった扇風機。
金魚でできた金属の橋梁。
冷たい涼しい。
の 
デス。 
ぼくの部屋の艶かしい
金魚のフリをする扇風機。
あたりにきませんか?
冷たい涼しい。

デス。
ぼくの部屋に吹く艶かしい
金魚のフリをする扇風機。
あたりにきませんか?
キキ
あたりにきませんか?
キキ
金魚は
車で走っていると
車が走っていると
突然、金魚のフリをする扇風機。
あたりにきませんか?
キキ
あたりにきませんか?
キキ
金魚迷惑。
金魚イヤ〜ン。
キキ
金魚迷惑。
金魚イヤ〜ン。
扇風機、突然、憂鬱な金魚のフリをする。
あたりにきませんか?
キキ
あたりにきませんか?
キキ
金魚は
車で走って
車は走って
あたりにいきませんか?
金魚のような
墓地の
冷たい涼しい
車に。
キキ
金魚。
キキ
金魚。
キキ
キィイイイイイイイイイイイイイイイイイ
ツルンッ。 
よしこちゃん
こんな名前の知り合いは、いいひんかった。
そやけど、よしこちゃん。
キキ
金魚。
しおりの
かわりに
金魚をはさむ。
よしこちゃんは
ごはんのかわりに
金魚をコピーする。
キキ
金魚。
よしこちゃん。
晩ご飯のかわりに
キキ
きのうも、ヘンな癖がでた。
金魚の隣でグースカ寝ていると
ぼくの瞼の隙を見つけて
ぼくのコピーが金魚のフリをして
扇風機は、墓地の冷たい涼しい
金魚にあたりにきませんか?
きのうは金魚の癖がでた。
石の上に
扇風機を抱いて寝ていると
グースカピー
ぼくの寝言が
金魚をコピーする。
吐き出される金魚たち。
憂鬱な夜明けは、ぼくの金魚のコピーでいっぱいだ。
はみ出した金魚を本にはさんで
よしこちゃん。
ぼくを扇風機で
金魚をコピーする。
スルスルー。
ピー、コッ。
スルスルー。
ピー、コッ。
スルスルー。
いひひ。笑。
ぼくは金魚でコピーする。
真っ赤に染まった
ぼくの白目を。
金魚のコピーが
ぼくの寝ている墓地の
あいだをスルスルー
と。
扇風機、よしこちゃん。
おいたっ!
チチ
タタ
無傷なぼくは
金魚ちゃん。
チチ
マエストロ。
金魚は置きなさい。
電話にプチチ
おいたは、あかん。
フチ。
魔法瓶を抱えて
金魚が砂漠を冒険する。
そんな話を書くことにする。
ぼくは二十年くらい数学をおしえてきて
けっきょく、数について、あまりにも無恥な自分がいるのに
飽きた。
秋田。
あ、きた。
背もたれも金魚。
キッチンも金魚。
憂鬱な金魚でできたカーペット。
ぼくをコピーする金魚たち。
ぼくはカーペットの上に、つぎつぎと吐き出される。
まるで
金魚すくいの名人のようだ。
見せたいものもないけれど
まるで金魚すくいの名人みたいだ。
二世帯住宅じゃないけれど
お父さんじゃない。
ぼくのよしこちゃんは
良妻賢母で
にきびをつぶしては
金魚をひねり出す。
じゃなくて
金魚をひねる。
知らん。
メタ金魚というものを考える。
メタ金魚は言語革命を推進する。。
スルスルー
っと。
メタ金魚が、魔法瓶を抱えて砂漠を
冒涜するのをやめる。
ぼくのことは
金魚にして。
悩み多き青年金魚たち。
フランク・シナトラは
自分の別荘のひとつに
その別荘の部屋のひとつに
金魚の剥製をいっぱい。
ぼくの憂鬱な金魚は
ぼくのコピーを吐き出して
ぼくをカーペットの上に
たくさん
ぴちゃん、ぴちゃん。
ぴちゃん、ぴちゃん。
て、
キキ。
金魚。
扇風機といっしょに
車に飛び込む。
フリをする。
キキ
金魚
ぴちゃん。
ぴちゃん。
ププ。
ああ
結ばれる
幸せな
憂鬱な
金魚たち。
ぼくは、だんだん金魚になる。
なっていくぼくがうれしい。
しっ、
死ねぇっ!
ピッ
moumou と sousou の
金魚。
moumou と sousou の
金魚。
金魚が、ぼくを救うことについて
父子のコンタクトは、了解。
これらのミスは、重大事件に間違い。
バッカじゃないの?
わかった。
歴史のいっぱい詰まった金魚が禁止される。
金魚大統領はたいへんだ。
もう砂漠を冒険することもできやしない。
してないけど。笑。
冒険は、金魚になった
広大な砂漠だった。
モニターしてね。笑。
こういうと、二千年もの永きにわたって繁栄してきた
わが金魚テイク・オフの
過去へのロッテリア。
金魚学派のパパ・ドミヌスは
ぼくに、そうっと教えてくれた。
金魚大統領の棺の
肛門の
栓をひねって
酔うと、
ぼくは金魚に生まれ変わった扇風機になる。
冷たい涼しい。
金魚のような
墓地。
ぼくの
moumou と sousou の
金魚たち。
いつのまにか、複製。
なんということもなく
金魚大統領と面会の約束をする。
当地の慣習として
それは論議の的になること間違い。
笑。
FUxx You
これは
ふうう よう
と読んでね。
笑。
当地の慣習として
眼帯をした金魚の幽霊が
創造と現実は大違いか?
想像と堅実は大違いか?
sousou
意識不明の幽霊が
金魚の扇風機を
手でまわす。
四つ足の金魚が、ぼくのカーペットの上に
無数の足をのばす。
カーペットは、ときどき、ぼくのフリをして
金魚を口から吐き出す。
ぷつん、ぷつん、と。
ぼくの白目は真っ赤になって
からから鳴かなかった。
金魚に鳴いてみよと
よしこちゃんがさびしそうにつぶやいた。
完全密封の立方体金魚は
無音で回転している。
とってもきれいな
憂鬱。
完全ヒップなぼくの扇風機は
金魚の羽の顧問だ。
カモン!
ぼくは、冷蔵庫に、お父さんの金魚を隠してる。
金魚のお父さんかな。
どっちでも、おなじだけど。笑。
ときどき、墓地になる
金魚
じゃなかった
ぼくの喉の地下室には
フランク・シナトラ。
目や耳も
呼吸している。
息と同じように
目や
耳も
呼吸している。
呼吸しているから
窒息することもある。
目や耳も、呼吸している。
白木みのる
ってあだ名の先生がいた。
ぼくと一番仲のよかった友だちがいた研究室の先生だったけど
とっても高い声で
キキ、キキ
って鳴く
白木みのるに似た先生だった。
ある日、その先生の助手が
(こちらは顔の大きなフランケンシュタインって感じね。)
学生実験の準備で、何か不手際をしたらしくって
その先生に、ものすごいケンマクでしかられてたんだって
「キキ、キミ、その出来そこないの頭を
 壁にぶち当てて、反省しなさい。」
って言われて。
で、
その助手もヘンな人で
言われたとおりに
その出来そこないの頭を
ゴツン、ゴツン
って、何度も壁にぶちあてて
「ボボ、ボク、反省します。
 反省します。」
って言ってたんだって。
友だちにそう聞いて
理系の人間って、ほんとにイビツなんだなって
思った。
プフッ。。
田中さんといると、いつも軽い頭痛がする、と言われたことがある。
ウの目、タカの目。
方法序説のように長々とした前戯。
サラダバー食べすぎてゲロゲロ。
言葉。
言葉は、自我とわたしを結ぶ唯一の媒体である。
言葉がそのような媒体であるのは
言葉自体が自我でもなく
わたしでもないからであるが
媒体という言葉をほかの言葉にして
言葉は自我であると同時にわたしであるからだと
思っているわたしがいる。
理解を超えるものはない。
いつも理解が及ばないだけだ。
お母さんを吐き出す。
お父さんを吐き出す
うっと、とつぜんえずく。
内臓を吐き出して
太陽の光にあてる。
そうやって浜辺で寝そべるぼく

イメージ。
たくさんの窓。
たくさんの窓にぶら下がる
たくさんのぼく

抜け殻。
ぼくの姿をしたさなぎ。
紺のスーツ姿で、ぼうっと突っ立っているぼく。
ぼくのさなぎの背中が割れる。
スーツ姿のぼくが
ぼくのスーツ姿のさなぎから
ぬーっと出てくる。
死んだまま。
つぎつぎと
アドルニーエン。
アドルノする。
難解にするという意味のドイツ語
だという。
調べてないけど、橋本くんに教えてもらった。
2002年2月20日のメモは
愛撫とは繰り返すことだ。
アドルニーエン。
アドルノする。
難解にするという意味のドイツ語
だという。
調べてないけど、橋本くんに教えてもらった。