選出作品

作品 - 20180329_105_10348p

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ゆびきり

  榎本いずみ

まだ息をする花を棺に込めて、
焼死させる自己満足の美しさはいつも
眉を顰める人たちの計画通り。
マニュアルで読み上げられていく
とても優しい人でした
が、眼球にこびりつき
ハンカチは乾いている。
白檀の煙は気管支を圧迫-闘争
幼い甥は声高く笑い、
指に力が入らなくて
溢しきった砂糖をアリが辿る
引き出しの隅の追憶が浮遊し始める。
私の知らないあなたを
Eureka/やっと見つけた
望んでいたのは存在し続けること
小指を差し出し千本飲ませば
祖母は、嘘つきの幼い少女になる。