選出作品

作品 - 20180303_260_10286p

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誰もいなくなった。

  あおい

あなたのその
心を持たない目が
見つめる先は
虚像の悦びにくるまれた
未来という過去だ

あなたは気がついていない
死体を愛しているということを
抱き合った瞬間
それは死に変わったのだ
あなたの右手は冷たく鋭い爪が伸びている

その爪で、
生まれたばかりの
老いた男を
あたためながら殺した
男は安らかな顔で感じたばかりの生涯を終えた

あなたは友人がいなかった
なぜなら、
愛したものすべてを
殺してしまうから
あなたに殺された者たちに涙はなかった

それはあなたの
希望という過去だから
光よりも闇を愛しながら
あなたは過去を愛している
これからも愛し続けるのだろう

あなたから、誰もいなくなった。