選出作品

作品 - 20171226_230_10121p

  • [優]  浮遊 - ゆあさ  (2017-12)

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浮遊

  ゆあさ

もう500年ぐらい電車に乗っている気がする
気がする 線路の音がする

右耳の奥で明滅する
群生する/ぞわぞわした/子供の手
もう500年ぐらい前から電車に乗っている
人.,がたくさ ん過ぎ.て/ いった。
ひとびと ., 近づいてくる目の群れと白熊の/白熊の/しろくまの/あしあと

・・・

明滅する目の奥で音がしている. .,
している .している., してい/る .
いるいるるるるる. るる.,る
手放した空の方でまた幻覚がしている瞼は重く 瞼は重くつらなり・る・(りる)・開いたり閉じたりしている・()・開いている綴じている目のつらなりまだ子供だから言えなかったの , なに/も
(りるりる りるりるりる)

いつですかいつでしたか?手首から根が生えて!吸った水が苦かったのは・空に落ちるのが怖くて・首を貼り付けていたのは .

また
耳の奥に声帯が生じて声を出したり閉じたりしてる うるさい ことをたぶん声帯は知らない その代わりに喉が閉ざされて 窒息する/した .

また
次の駅が過ぎる ドアが閉まる それを眺めている
閉じていく 閉ざされる 閉ざされていく


・・・

らないから らないからい 閉じてください 閉めてください 車掌さんそのドアを閉めてください見えないから聞こえないからもういいから閉めてください

制帽の下に顔はなく瞼のように今は眠って、

りる?

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