選出作品

作品 - 20171011_510_9952p

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なつやすみ

  あやめ


ゆめのなかをひらく水辺のような襖だ
その先も またその先にも
傾斜したふうけいが見える


ねむるようにひたされた草花はいくども
記憶をひきついでそこに生まれ


まぶたのなかをただよう暈が その色や質感が
ただひとりのものでないことに驚く


とぎれとぎれの冒険にうきあがる月のように
やみくもに たとえばきみとかわたしが
流れていくうえで
どこにも投函されない
などということがあるのだろうか