新憶の潰えたる肴の味したる新大久保にいたりて、皿が流れていく回転寿司の文様にふとしたことからじりりと醤油を詰めていった、傘の柄に地中海の絵を描きてトピカのひくりかえるありさま、素直な道のりを辿るようにしてそば粉の話題に移るのです。
「カメレオン戦争、人はそう呼びます。」
「ガラスの薫風が人の心を引き裂くのです。」
「ここには壮大な比喩もなく、文字もありません。」
「顔から滴り落ちる朝顔の汁をひたひたと渡していきましょう。」
ケーブルを引き抜き、トイレに入ります。電気をつけ、ズボンを下ろし、かがみこみ、力むと、過去が見えてきます。そこから先は、記憶へと続く長い道のりとなっていて、私にも判別がつきません。3Dプリンターを買った後に百均のクオリティに感動するような具合で、私の中の幻も現実と比較され、森を抜けてひらけた場所に出てきたときのような不思議な痛覚の底を辿り、流れる水の音を聴きながら射出した人工物のまどろみに耐え難き耐えを耐えゆくのです。
選出作品
作品 - 20171010_504_9950p
- [優] 砂 - kaz. (2017-10)
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砂
kaz.