(K.I.へ)
昼の星たちが
こうして語りかけてくる
おまえの存在にどんな意味があるのかも
知らないから
いつか 棺桶のなかで
夜を掌にのせていた
いつか ベッドのうえで
真黒な雨に首を吊っていた
とつぜんの死からにげようとして 烏たちは
私たちの森をとおりぬける
ひとつの記号として生きていくために
ひとつの偶然として生きていくために
この地上で
けっして忘れてはならない秘密を知ってしまった
そのことがやがてきみにも
わかる日がくる
とでもいうのだろうか
毀れたものも
崩れてしまったものも
見えない火に焼かれていく
奇妙な形に
かたどられた星ぞらに
なんども呪文のことばをくりかえして
それは永遠のように
手を繋いで
あなたはきっと
わたしを忘れるだろう
選出作品
作品 - 20170717_150_9765p
- [佳] (無題) - ねむのき (2017-07)
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(無題)
ねむのき