かれからの手紙のなか
砂埃のむこうを
夥しい自動車が過ぎて行った
何番目に僕がいたでしょうか
と、かれが問う
直前の
ぐちゃぐちゃと潰された誤字を
読むことはできなかったが
わたしたち、と言えば
規定される範囲が
まだ、あるなら
わたしたちの心象風景は
細部を失っていく
かれもわたしも、きみを、きみと呼ぶ
きみは、ローソンが
固有名詞だと言い張った
この町の大体はローソンの窓に映る
とも、言った
かれからの手紙のなか
砂埃のむこうを過ぎて行く
夥しい自動車、それらが
本当に自動車か
わたしはときどき、判別できない
選出作品
作品 - 20170708_811_9748p
- [佳] coarser - 完備 (2017-07)
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coarser
完備