眠れば、
光暈が静か、
騒めく
熟れないわたしたちの小鳥が
わたしたちが鳩の心臓を
包むやわらかな降る花が
だれのものでもない、
あなたの、
めまぐるしく
喪われた攪拌機のうちそとに
癒えることなきこどもが
石灰の墓碑銘に紛れるならば
わたしは
わたしたちの死を
あなたへ、
孵れ、
今は今でしかないのだから
明るい夜
だれかが死ぬ夜の絹のなかで
明けやらぬ電球
器械の、
全て喪われた
個室のラヴェルを擱いて
逃れる
亡命者がくれた
青い雛罌粟のかたち、
生きていた記憶
それはあなたたちの、
産れなきこどもを
少年たちを
個人を 俟ちながら
かれらは死は迷宮建築を今も尚燻り、
_
私が、なにものでもないわたし、に
降る、鎧戸を霰が、
ああそれは、
かのものたちが、
死を忘れつつ、腐りゆく、
薔薇のフーガを、
外套に包み包まれた、鳩尾をながれやまず、
それは青ざめた縁の、
辺縁を差し、
楕円を姿見として
再発を、撒く鉤十字の
忘られなき
罰をあたえる、あなた、へと
泥濘、
模倣のような雹は、
やわらかにも嬰児虐殺を、
古びてゆく、諸々の切窓に、
狂人達の晩餐は、
漆喰の、
瞳を、
喉をくつろげて、
底を、呻る、
轍のような死に
溜められた瞋り
白い瞋り、
文法へ開かれた
吃りの、驟驟とした、
何もない、嘔吐、
労働者へ
腕のない眠りより生臭い、街燈の底へ
傷なき繃帯は
追うか追われ、
骨灰を、煤埃を、
あなたが、なにものでもないあなた、へ
選出作品
作品 - 20170622_077_9698p
- [佳] 箱庭_【或は選者氏へ、】 - 鷹枕可 (2017-06)
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箱庭_【或は選者氏へ、】
鷹枕可