上の話では、ある記号が名前として特定されている。それは、すべての人にとって同じであるが、しかし各人は彼自身について語るためだけにそれを使用するのである。では、それは「私」とどのように比べられるだろうか?
――エリザベス・アンスコム『第一人称』より
今週、シーズン最大のジャンプを見せたスキー選手の嘉納治五郎は、実はスキー選手ではなかったことが発覚し(笑)、実はスキー競技自体が脳内麻薬エンドルフィンによる言語遊戯であったことが発覚し(笑)、その結果として嘉納治五郎はオリンピックの取ってもいないメダルを剥奪されることになったのである(驚)。
婿入りの結果として名前を変更せざるを得ない窮地に立たされた私は、第一人称を変更することでそれを回避しようと試みるも(笑)、私と僕と俺が指すものがことごとく同じであったために失敗し(笑)、仕方なく詩人の名刺を札束のように掻き集めて彼の家に置いてくることにしたのである(驚)。
みんな、君のことが好きだった。と言われたとしたら、決まって僕が返す言葉はこうだ。ええ、僕もみんなのことが好きですよ(笑)。概念の普遍化に錦鯉が抵抗するような味のする最中(モナカ)のためにX女史の年齢は全くもって不明であり説は16から98まで幅広い(驚)。
飛び出す絵本のように鳥たちが冷蔵庫の中から溢れ出てきて、部屋は鴨のフンや鳩の羽で埋め尽くされ(鳥)、彼らの羽ばたきで浮力が生まれたために気がつくと部屋ごと空に浮かんでいて(鳥)、ドアを開けると真下の雲に四角い影が、窓を開けると雲が入り込んでくる(鷲)。
選出作品
作品 - 20170525_375_9638p
- [優] みんな、君のことが好きだった。 - kaz. (2017-05)
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みんな、君のことが好きだった。
kaz.