一人、一人、ポツポツと喋るように
沖縄に雪が降る
嘘
ラジオ越しに聞こえる
北海道はマイナス10度だって
今朝、友達が教えてくれた
それ本当に?
ここも寒いのにな
秋と冬の境目がまるで壊れてしまったようだ
この土地はそういう場所だ
九州、
そして
教会が取り壊される
看板だけ残った
地震残らず無闇に更地になった
風のない日
アパートの隣のビルのアスファルトが一時間で削り取られた
スーパーも、
また、新しい箱が出来る
前より少しだけ小さくなったきれいな箱だ
そして雪は降らない
日の暖かい
トラクターが運んだ土砂はどこに行く
と、
雨が降るとみずたまりがいつもより汚れて見えるんだ
工事の音を聞きながら
そして年末がやってくるとき
カーテンを開けると灰が降ってきた
自転車に降り積もる
音もなく、
洗濯物を取り込め
マクドナルドで喋るように
地震は喋るように
例えば、それは遠い昔の話を
既に忘れてしまった
事柄は切なくない
少しばかり盛ったおとぎ話を
タバコを吸いながら
そしてグレている
当事者も分らない
アパートのひび割れが塗り替えられて
雪かきのように灰を掻き出して
それはアスファルト、
どこかに消えた土砂
本当に?
と、
多分海の色を見れば分かる
ほら、次々と
魚が打ち上げられていく
灰の降る海に
選出作品
作品 - 20161221_561_9357p
- [優] ダイアローグ - 百均 (2016-12)
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