選出作品

作品 - 20161117_264_9270p

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廴の彩_zero

  すずらん

「光がZero に等しい、」と、兎。銀いろの耳をふりふり、「赤い時 計から 今,
迫りでた カオ ス、わたしが 七カマドの耀に くべる としよう。」

 11月の、森の陽はちろちろ燃えイノチが一途に発色しています。

「まぎれもない 辛抱が コップリ,コップリ 貯 えられ、」と、栗鼠。飴いろの頬づえ
をつき、「まがいものなく命 の 水になるから、まちぼうけの赤い時 計から 昔,
毀れた コスモ ス、まちどうしくて逆もてぎに 七輪,挿して いったよ。」

 勝手の、土つき男爵たちは、押し合いへし合い泥仕合いしています。
 どうやら垢ぬけ、コンロのうえでおしゃべりを始めたようです。

「秋の、縫い目には」
「 だれもが、」
「 摂理のスリープ,ストレイシープって いってた。」
「紅い実 は眠らず、」
「あぁ、」
「私はちっとも 眠れない。」
「空は、」
「砂糖菓子が哀しくなって揮発した」
「Indigo」
「ブルー,ブルー,ブルー。」
「片時も!」
「忘れてなかった、私の 靴。」

 ぐつぐつ ξもおイモも想いも、ごった煮込んでいます。

  あい色の、秋の夜長…

 ちいさな泉のそば、トチの大木はみんなの暖かなお家です。
 黄いろい大きな葉は、虫たちの暮らしの夢床です。

「古今東西,なにせ医学書にもないこと、この命の 水を、ホーホー捧たる筆に縒り
合わせて秘鑰にし、だれにもホーホー分かる様 つづる としよう。」とは、梟の、
金いろの胸づもり。

 頃合いも煮えて、宵あんばいです。
 宴卓は、ナベとなべてサラの白い花がさいています。

  いま、耳をくすぐった・・

 あの扉のベルは、風のいつもの挨拶でしょうか。