煙草を吸いながら
中央線が幻のように
よこぎるのを見ていた
夜空には
やすらかな死が
紐に吊るされている
(おまえの悲しみには、異物がまじっているよ)
白い花で溢れた木の柩
かれの死体はひどく美しく/臭い
眼鏡をぬぐいながら
わたしは
痩せた月を柩に手向け
かれの胸をしずかに光らせる
選出作品
作品 - 20161014_522_9183p
- [佳] 柩 - ねむのき (2016-10)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
柩
ねむのき
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
煙草を吸いながら
中央線が幻のように
よこぎるのを見ていた
夜空には
やすらかな死が
紐に吊るされている
(おまえの悲しみには、異物がまじっているよ)
白い花で溢れた木の柩
かれの死体はひどく美しく/臭い
眼鏡をぬぐいながら
わたしは
痩せた月を柩に手向け
かれの胸をしずかに光らせる
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