裸の冬がくる
十二月の姿は、あられもない
わたしのからだは白くひらかれ
とめどなく上昇してゆく
まぶしい白さに混練され
細胞のように、奥千の分裂をなし
ひかりとともに微細な羽虫となる
白く羽をふるわせて
冬の光線を吸い、触角をちいさく動かす
適度な湿度と乾燥が私の翅を小さくなでる
こまかく、排泄物を分泌させ
いくつかの息を、天空に撒き
冷気とともに、地上に落下してゆく
わたしは雪となって
黙って目をつむり
しずかな夜に降雪する
選出作品
作品 - 20160625_028_8906p
- [佳] 冬虫 - シロ (2016-06)
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冬虫
シロ