選出作品

作品 - 20160621_893_8899p

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絶句_eフォルマヴィシオン

  鷹枕可

死の網膜
卑劣たる聖人
嘲弄残虐の塹壕帯
燦爛鏡より陰鬱鏡へ亙る
双児-影像対称体
カスパー・ハウザー悲運の柩に孵りつつ
世界終端の想像世紀、
自働説機械設計の愉悦人よ蝕身倒錯を放て

異人追放
そして
国家崇拝の普遍卵殻に
未死露悪の放埓なる
薔薇 復 帆船を
巨躯と矮小の遠近法を喧しく宣伝せよ
窮鼠に拠る国粋主義よ

飽食卿の死骸
割礼の華蘂瞠目、
眼球葬礼家と果実籠の静物
捻転 捻転 捻転
有棘領野を闊歩する
霊柩車の聖霊週間に於ける吐露機関の舌禍

そは
忌々しくも
純潔且つ峻厳なり
昏婚者達の断絶、
誓約を
飽く迄も帰趨白百合の記録帖へ隠避しつつ

鉛丹の精神病院
恫喝的影像の追随魘夢を跨ぐを首肯せず
矩形蛾たるデフォルマシオン
即物より叛抽象へ
興趣昏迷の人物は
経緯度計の揺動花菱にも指針を捺すか

地球の鳥瞰鏡を
絶対絶句なる自明死、曇窓とも喚呼し
鳴啼する卵膜の前世紀は畸形の厩舎たる
嬰児、落花迄の繁栄を謳歌せよ

瑕疵死斑枷鎖繋がらずして
放埓と秘匿花よ
堕罪自裁の自存者E氏
古代螺旋劇場の虚実、不幸を喚起し
闡明者E氏、自が両眼を抉り
運命と呼ぶべき弛緩野に血髄を滴らせたり


          *


     概念建築播種器の亡命歌よ
    蒸気罐の熾烈なる臼歯は
   存続し継続し痙攣せよ
  近似的存在機構の縊死体F
 吐瀉喀血麗かな錯綜よ
黒森黒薔薇黒石網膜
 蒐集家無惨なる悪辣者
  汚辱殉卿坩堝渦巻城砦の歪曲
   弛緩薬シアン死す死者 
    緑色卵膜帯係留の繊維剤
     不落鹹湖に蝕既剃刀を愚挙せよ

               緋の銅鑼 否
                萵苣の脳髄鬱屈たる
               冀願の安楽死
                鐘乳と石筍と鱗茎
               螺旋邸宅建築家の敷衍
                駅舎の幽霊夥多に
               ガシュリンの角膜炎を喚べ

              類似の花々
            朽葉の創 
          裂開された眼球-人働飛行翼
        瞭然明瞭と瞠られた耳殻に聴音機械
      ヴァイオリン縦横果断なる切開より
    過り堕ち平面幾何学伽藍の紙生穹窿
未明死の塩基六芒奇聞たる忌憚楕鏡眼球‐気密室
 
在る時をわたし在り 無き時にわたし在る 追難 追難 追難 
鳴鐘たる叱責者 牡蠣綻ぶ葡萄樹に自ら逸す
   さはされど丹色の扉を翻翻と集くは黒死菌を運命たる係累におぞめかしめる闇翅蝶ならざるを

麗句審問は弛緩譲与の鬱屈を擬似臓腑病慈愛の既望に仮託し
遅行劇物番号256_眼球悲愴曲のための標榜を掲揚した
萵苣と薔薇の洞窟修道院長が肩を互みに揺動する
精神病の颯爽たる巧緻痙攣が赤十字の影像に
患者Sの支離籠絡を領域に仮想の華々と
撞着された真空管の塩粒に鹹くも死
を謳い創める創造説の卵殻には
アダン氏の捻転する筋線維
が暫く硬い衝撃運動を
後顧の蒙昧主義を
播種収穫した
網膜野に
蜉蝣


     自 
    働
   式昇降室
    裸   
     婦
      像――頤に巨躯の花籠
 暴落する、暴落する暴騰
   炎天の市街地
  給水塔の球体、動力矮躯
      近似的鱗翅類の落涙
    貽貝ひとつ
       擬真珠の偽造紙幣に 
             遁れ行く過程死、眼底骨
緑内障その新緑を写し  
  斯く壊滅の戦禍を喚べ
       死と死の死、永続程の白痴夢に 復 流刑地の塹壕掘削器に
死夢、落盤 
   比喩の禽籠と 叛煽動家に鋳抜かれた視野は禽勿き鳴啼鐘塔の水死