落陽とともに
またひとつ ちいさな海が生まれ
夏は
さよならと言った
どの夜が 最後の夜であるのか
知らないでいるわたしらへ
手をふることを
初めておぼえた日のように
訳もなくわたしらは
手をふりつづけていた
ふれあう前から泣いている恋人たちや
遠くひろがる星のいない空、そして
途切れてしまった蝉たちの行方について
こたえられないまま
わたしらは眠れないと言った、
訪れない朝のために 耳をそばだて
深いねむりの周囲を
めぐりつづけている
選出作品
作品 - 20151207_481_8484p
- [優] 潮騒 - 丘 光平 (2015-12)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
潮騒
丘 光平