選出作品

作品 - 20151015_589_8371p

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群像と絞首劇場を巡る蟻の心臓の花言葉について

  鷹枕可

わたしにとって
貧しさは
狂気は
見捨てられた訛りです



此界は常歪んでいて
益々と旋風は柔かく死後をも乞うて尽きない牧神を舐め
角膜の雌雄は曖昧になりながら苗代の絶対詩を鋭角な都市論に線描をした
空中帆船の花粉航海記には知るべくもない電子の核膜が凌霄花を流麗な泥に浸した
私は、
彼方の他人であり
私の恩人である万年筆の書言葉を復る
幾艘ものガレー船を眺望する一把の朝餐の紫水晶に苛々と欹てられた眼だった
今、
今を過った辺縁に一ヶ月の緘黙が唇を弛緩させた
神経は蚯蚓の喚き腫らした固執でしかない

脳髄は鬱蒼鏡に
暫くは聴音せられた万遍ない空気瓶50ccの乾びたスプーンを断腸を指する紙張子の剃刀にもなるからか
大抵が凡俗な遠海に於いての
肘掛椅子と戸籍欄の撞着
そして
海鼠の頭蓋骨に綻ぶ慈愛の搾り滓でしかなかったので
母語や喃語にも限り無く似た洗濯液の沸騰が
総ての感受を触角に拠り執り行うとしてもそれは完膚なきほどの必然に晒された未遂死でしかない

才気などは端から在りはせず 
賑やかな哀しみは漁夫の油膜の花々に
涙液に殻を落した 
狂気の症例
朧ろげな出鱈目が
間抜けな隧道に泳ぐ幾輌ものモーター
つまり蝸牛の食道にあたる火事へ
少なからず談話者たちの電気信号を攪拌室に撃ちながら後悔していたに違いないと諾うか否か

肉声の些事はガソリンの様に匂った
それは薔薇の様に未だ糊塗されてはおらず
朴訥な気候に唾をした青年像の握り緊める鳥撃銃の火薬ですらなかった
あたかも外観的症候群が鏡像的病理の叩き台に擲った
哭き腫らした鐘の舌を収賄する如く
第一ヴァイオリンから第二ヴァイオリン迄の編成は群像列の死の行進を軽んじているのみならず
孤独の指揮、つまり散逸した薄乳色の彫像を空襲する幾多のてのひらへ
慈善の沈船を
一切苦厄の涯に世界を現じる混濁 
つまり狂人は被告であり 医師は批評者であり

或る
莫迦は、
葬送行進曲に
反吐を垂れていた

飛躍がシノプシスに
/
を打ち込む
乾酪に縋らんとする昇降機
「」
が賓客をくつろがせ
瓔珞の花婿は

を沓箆に引掛けていた

ピアニストを撃つな
ピアニストを撃って撃て
新しいダダ、そして蒸気機関車の花々は網膜炎

錆びた襯衣は目も覚める青色の藝術です
青色の襯衣は錆びた藝術の目も覚めるあなたの青色です
襯衣の錆びた青色は目も覚める藝術です
錆びた錆びた青色は藝術です目も覚める襯衣の
襯衣の藝術です青色は目も覚めるあなた

あなたなあなたたなああなたな
あなた

七面鳥の戴冠
青聖母は私です、
くしゃくしゃの新聞紙から白い薔薇薔薇薔薇と落ちた広告紙
散々な夜、迄も
常夜燈に
囁く死語のひとつです

ああ、恰幅の佳さもまるで霰の様
煤煙もやがては少女の庖丁に宛がわれてしまいます
草の眼が傷み
繭の諜報が届くときには
酷く
未明さえもが新しく死ぬのでしょう

ほら 御覧

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