選出作品

作品 - 20140929_130_7676p

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カエルちゃん

  山人


パパはお魚釣りに行ったよ!
君はカエルのような平べったい声で言うと
真っ直ぐ僕を見て、おしっこおしっこと喚いた
汲み取り式の便器が怖くて一人で行けないから
君のママが居るのに僕を便所に連れて行った
なにかぐちゃぐちゃおしゃべりしながらジャーっておしっこすると僕があそこを拭いてあげていた
君は本当にカエルのようで、山の中の一軒家でぴょんぴょん遊んでいたんだ

君はやっぱりカエル顔でメガネをかけていて
顎鬚を蓄えた若い男とパパとママ
今はなんだか書類上はそうでないらしいけど
一応将来の家族でってことでやって来てくれた
カエルはお腹が張ってるけど
君もやっぱりお腹がぷっくり膨らんでて
やっぱりカエルだったんだなぁって思った
なんだか、よその娘さんのようで、僕はあまり話しかけられなかったけれど
帰るときに、カエルちゃんだったっけ?って言うと
君はやっぱりカエル顔になってあの頃の笑顔を向けてくれた
不思議なのかな、自販機にくっ付いたオオミズアオを綺麗だなんて言ってデジカメに撮りこんでいた
パクリっとかしないでよ!
するするっと縦に伸びたカエルちゃん
まだまだあの頃のまんまの心なのかも知れないね
君の家族のことは解らないけど、カエル顔をいつまでもね