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作品 - 20140716_068_7546p

  • [佳]  騙し絵 - やなりり  (2014-07)

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騙し絵

  やなりり

蛇の首を持つ螺旋に巻かれ
DNAが神話の中で親和を見出し
シンメトリーな掌に転がされる
淫靡な想念が宙に放つ幾何学模様の編巫女み

図らずとも図りたり

騙されたのか、隠したのか
見えない、が見えた時
何故に探り当てることに躍起になっていたのか
呵責をリフレインさせる

世界が隠されたのは見え過ぎる事を危ぶんだ先人の
手先の全てが見えてショートした脳が
人を殺めることに飽き飽きしたからで

此処にも、手が、鳥が、いる
昨日は見えなかった場所にいる

日常を離れたところで描き足されているのかもしれない

咎めないから出ておいで

あなたの隣にいた鳥が消えた、螺鈿迷宮の果てには
鳴き声だけを籠に入れた採掘労働者の横を
カナリアが飛び交う庭があり
太陽ではない白い光に照らされるのだ
と、埃の被った本には書かれているらしい

落盤で消えた洞窟の中
司書が教えてくれた騙し絵が逆回転する仕組みを
伝える相手がいない