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つかみかけの砂糖をばらまいて、歌う鳥たちに捧ぐ、辺りに散らばった雪化粧、ならぬ砂糖化粧と呼ぶべきものが、起こる、クリステヴァ、読んだことはないけど、きっと君は知っているはずだ、フィリップ・ソレルスが傾倒したマオイズムには間違いがあったこと、そんな現代思想の文脈に合わせないで語りたい、でも出てくるのは美しい記号ばかり、バタイユのバター、ここで一旦席を立つ、父の電話を取るため、父は家の鍵がかかっているかどうかを聞いてくる、それを実際確かめるため玄関へ向かい、戻ってくる、ぼくは狂ってない、入院したけれどもちゃんと戻ってきた、そして美しい記号をまた探しに出かけたい、でもどこへも立たない、国家の成立のために捧げられたものたちの声を、ぼくは高行健の文脈から読み取る、でもすべて読んだわけではない、もういっそのことすべて忘れ去ってしまいたい、でも忘れられない、だから図書館に行く、そこでベケットをちょっと読み返す、これも全部読んだわけじゃない、ああなんてぼくは中途半端なんだ、けっきょくどれもこれも中途半端だ、どこにも完全はない、その点について責め立てられる心配はない、また美しい記号を探しに出かける、『ある男の聖書』をほんの少しだけ手にとってめくってみる、それで聖書が読みたくなってくる、どうせここに書かれているのは自分の話だけだ、そう思うことにする、そしてやめる、もうやめだ、宝なんてものはなかったんだ、そんなの最初からわかってたことだ、シャンデラの鐘が鳴り出すとき、ぼくは目が覚める、ああこれは夢か、それとも死か、これが死というものなのか、だとすればぼくの体はどこへ行った、精神はどこへ行った、ぼくの心の中では未だに本を探し続ける私がいる、と彼は言った、やがて天地が創造された、ぼくは歩けるようになった、何も読んでないけど、今なら歩ける、ここで一旦手を休めた、体力が280回復した、最大HPは300だ、これでもう十分だ、まだ先へ進める、書ける、書けるぞ俺は、そういやポケモンにもシャンデラってのがいたな、全然やったことないからわからないけど、どこかに置き忘れてしまったポケットモンスター金のソフト、あれは今どこにあるのだろう、ところでつかみかけの砂糖はどこ行った、もうどこにも行かない、やあ、君は何人の殺しをしたことがあるか、数えてみてごらん、きっとすぐにわかる。何が? 知らん。関係ないけどミトコンドリアの内膜にはクリステという構造がある。
・帰り道
彼女のこぼした
ため息のぬるさが
全速力/一生懸命/ する時刻
水はとても明るかった
ミトコンドリアの内膜のなかでクリステヴァが吠える
軽かった/カルカッタの石は
転がる、転がる
(水は変態する、氷へと、雪へと、さらに明るくなる、光の反射がまぶしい、雪道から窓へ抜ける光の/)
私は今図書館にいる
記号/彼女を探すため
私の名前はあい/赤
ために
ハウメニー/
(二つの色彩が、
分極する、)
さようなら、私の本よ
サイダーハウス・ルール
幸福な無名時代
(おはよう、私の小説
アウトサイダーよ
マルケス、丸消す
あとはもう知らん)
合わせて、合わせ/て、
浴室/これは読んだことがある
これを読んだ翌日、小説を/小説を/小説を/
ある男の聖書のとなりにある黄泥街
インドラの網
そしてぼくは歩みをやめる
PCに向かい
ジョージ・レイコフの『詩と認知』を予約/する
///書こうとしたけどできなかったんだ、なぜなら書いたときにはもう小説ではなくなってしまっていたから、そしてぼくは発狂した、光の中で何をすることもできずに、閉ざされた闇の彼方へ向かおうとした、
(クリトリスにバターを)
襞/ライプニッツ
私の私の隣の家の鍵がかかっているかどうかを聞いてくる、やあ、やあ、君は知っているはずだ。新雪にどうもありがとう。残雪読んだことあるかい? 糞まみれな小説さ!
Das Gefu¨hl eines Daseins(私は存在するという感じ)
(そう、ここがただひとつの栗捨て場だ
ぼくは栗の皮をむきむき捨てていく)
私は雪の中を帰ってゆく
他の誰にも知られることのない雪の中を
(藍と、赤とが
ここで戻ってくる、
どちらも生まれ変わったばかりの双子のようで、
ぼくは安心を隠せない)
私のおびただしい記憶の中を/私は通っていく
(あめゆじゆとてちてけんじや あめゆじゆとてちてけんじや)
私はバスに乗る
多くの人々の中で
私は揺れる
選出作品
作品 - 20140210_487_7302p
- [優] 雪 - はかいし (2014-02)
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雪
はかいし