すべてはおもっつらだけ、外見以上の本質などない──(他意はない)
夜のうちでもっとも
好きなものだ
だれもいなくなった中古車売り場
車たちをみつめる
首をたれた広告塔の燈り
やつはいつまでうつむけたまんまなのか?
*
やがて犬たちが来た
またしても朝というやつ
手配師どもが笑い
おれの外套のうちで鳥籠がゆれる
立ってたらだれかが降ってきた
これはまた
ごくろうなこと
*
闇市で売られてた、
ストリッパーたちのポラロイド写真
踊りすぎてけつのたれてきた女たち
それでもそれらがかの女らにとっての黄金時代
喪われたものはなにもない
けれど発見したもの
だってなに
もない
*
バスはやっては来ない
夜の三時で
その時間はたぶん運行されてない
でもかれにはなぜだかわからないのだ
それにあっこは停留所
なんかじゃない
どうしてこうなるのか?
おそらくただ待ってるのがよくなかったのだ
*
立ちあがれない空腹で、
おもいだすのは「空腹の技法」、そしてその著者
ポール・オースター、
でも読んじゃない
立ちあがれないほどの空腹
なのに勃ちあがってくる
わが逸品
種の保存なんざお呼び
じゃない、なのになぜ?
しかたない──五回目だ!
*
しらふのときだっていうのにおれ
は李白のまねをやる
みじかい詩篇
不眠のうちによみがえってくる笑い
不眠がばからしくなるくらいに愛おしい、
ポルノ動画のお嬢さん
かの女のなまえが知りたい
かの女のことが知りたい
下心?
そんなものはない
ただほんとうにやりたいだけだ
それだけは純粋
*
詩だって所詮嗜好品だ。
なくたって生きられる。
ただ失語症のような過古から遁れたかっただけだ。
いかしいまさら言葉をうまくあやつれるようになっても、
他人の、それも多くのまっとうで健全な男女とやらに辱められたことは、
なにひとつかわりはしない。
ここではないどこかなどない。
「われわれは、じぶんのつくりだした世界のなかでしか生きられない」という、
ルーマニアの狼狂による言辞はおれの頬を打ち、戒めてくれる。
まあ、それぞれがそれぞれのみてぐらをみつけて、
さてマスをかいて寝ようぜ、よお赤の他人どもよ!
追伸;(←ここでセミコロンを使うのはモチロン定時制卒の智慧遅れの分際できょーよー──なんて書くのかわかんあい──とやらがあるのを故事したいため岳で或)。
きのう、近所のタワーレコーズにいったら「モンティパイソン」がばら売りされ、
いっぽん千円だった。とりあえず「マネー・プログラム」の入ってるやつを買った。その夜笑いすぎて腹が痛かった。おすすめする。
選出作品
作品 - 20121213_321_6548p
- [佳] ハタネズミと一時解雇 - 中田満帆 (2012-12)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
ハタネズミと一時解雇
中田満帆