漂っている
田の畦の
名もない雑草の根元に
捨てられた溜め池の
透き通る水の中に
細い目で鳴くアマガエルの喉に
咽び泣くような曇天の中の
炭焼き小屋の煙の中に
確かに漂っているのだと思いたい
石が石で終わるのは
あきらめた夕暮れに似ている
敷かれた道はひび割れ
雨水を染み込ませている
遠く重い呪縛から
糸が解けるように
開放させてください
雫る先の
かすかな四十雀の細かい動きは
澱んだ空気を彫り進む
暖気された空間が生まれる
少しだけ光は漂っている
選出作品
作品 - 20121112_532_6468p
- [佳] 漂っている - 山人 (2012-11)
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漂っている
山人