尋ね行くまぼろしもがなつてにても
魂(たま)のありかをそこと知るべく
(紫 式部『源氏物語』桐壺)
臓腑(はらわた)を切り開くと *01
それは、一枚の地図だった。
った。
だが、またしても、求めるものを、わたしは見出さなかった。 *02
血、血、血、
立ち罩める血、血の匂い、
血、血のにおいに、半ば酔い、噎せりながら
鮮血滴る少女の躯から搾りとった血、
血は、羊の皮袋(アベルが神に供えた群の初子)逆剥ぎの)贄の)中。 *03
すでに腸抜きをすませた少女の肌は蝋白色、
その血、血まみれの唇は灰色の
半人半樹の美児(まさづこ)、樹葬体。 *04
その半身は少女の裸身、裸体、
その剥き出しの乳房は片生(な)りの乳房(それゆえ、に
いっそう艶めかしい)淫縻な象(かたち)。
その褐色の半身は、果実の生る木、
その膝から下は堅い(かたい)樹皮に覆われた果樹、
その足は根となり、根をのばし、地面と、土と、かたく、かた、く、結びついていた。
死してもなお屹立する少女の胸に手をのべ、
わたしは、その胸にある未熟な果実を、黒曜石の小刀で切りとった。 *05
(その、象(かたち)のまま)切りとった乳房を裏返すと)と、
まだ熟しきらない安石榴の実が *06
ぎっしりつまっていた。
頬ばると、血、
血、血と、血の、匂いと、味がした。
わたしは、残ったもう片方の乳房を切りとると、それも頬ばり、頬ばった。
血、血、血、血と、血の味のする安石榴の実。
そして、わたしは、
切りとった双つの乳房のあと(血、血まみれ、
の)胸)にも、まるで獲物に跳びかかった山犬のように、むしゃぶりついた、った。
血、血、血、、、血と、血、
と、血と、血を、すっかり味わい尽くすと、
さらなる樹体を求めて(もと、めて)て)わたしは、足を踏み出した。
地、地と、
地に蔓延る茨と薊、 *07
刺す荊棘(いばら)に苦しめる朿(とげ)。 *08
裸足のわたし、わたしの裸足は生傷だらけだ。
血まみれの踵(つぶなぎ)、踵(かかと)を上げるたびに、わたしの足跡に血が滲み出た、た。
まるで酒ぶねを踏むように、わたしの足は地面を踏み歩いた。 *09
地、地に蔓延る茨と薊を踏み踏み拉きながら、
息のある樹体を求めて立ち潜り、
立ち徘徊い歩いた。
た、だが、
目にするのは、
折り枝(え)に苧環(おだまき)、枯れ木ばかりだ。
百骸香樹に、千骸果樹、みな、わたしが葬(はふ)り散(はらら)かしてきた樹体ばかりだった。
骨、骨、骨、
と、
血、
血を、
その血の滴りを、いまもなお、わたしは胸に感じる。 *10
感じることができる。できる、のだ。
この土、この地面のように、に、
お、おお、この夥しい死の枯れ骨を見よ。 *11
それらの骨と骨と骨は、みな、わたしが葬(はふ)った樹体の成れの果てだ。
わたしが葬(はふ)り(ほふり)血を)搾り)取り)肝取り)腸(わた)抜きした樹体の成れの果てだ。
その皮膚は縮んで骨につき、たちまちすぐに、
かわいて枯れ木のようになった。 *12
った。腕(ただむき)、腕(うで)
と手、手と、手(たなさき)についた、
血、血と、血、血、血と、血、血と、血と、
血いいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…………
──弟アベルは、どこにいるのか。 *13
あ、
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、いくら耳塞ぎ、
耳塞いでも聞こえる神の声、カミ、ノ、コエ。
──弟アベルは、どこにいるのか。
知りません。わたしは、弟の番人なのでしょうか。 *14
──弟アベルは、どこにいるのか。
お、おお、また、わたしは過去に引き戻されてしまった。
──弟アベルは、どこにいるのか。
お、おお、神よ、神よ、
いつまで、あなたは、わたしに目を離さず、
唾を飲む間も、わたしを棄てておかれないのですか。 *15
おお、神よ、
神よ、わたしの祈りを聞き、
わたしの口の言葉に耳を傾けてください。 *16
──弟アベルは、どこにいるのか。
おお、神よ、神よ、
あなたは、なぜ、わたしに、
このような恐ろしい呪いをかけられたのですか。
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、耳立つ、神の声、カミ、ノ、コエ。
──弟アベルは、どこにいるのか。
おお、神よ、神よ、
あなたは、なぜ、わたしの声にこたえてくださらないのですか。
あなたは、なぜ、わたしの口の言葉に耳を傾け、
これに、こたえてくださらないのですか。
──弟アベルは、どこにいるのか。
おお、神よ、神よ、どうしても、こたえてくださらないのですかっ、か。
ならば、天よ、耳を傾けよ、わたしは語る。
地よ、わたしの口の言葉を聞け。 *17
わたしは、弟アベルを殺した。これを野原に連れ出し、これを殺した。 *18
兄弟殺し! これは人間の歴史始まって以来の、
最初にして最古の人殺し。 *19
それゆえ、わたしは神に呪われ、神の前から離れなければならなかった。
地のおもてから追放され、地上の放浪者とならねばならなかった。 *20
そして、放浪の果てに、エデンの東、ノドの地に住まわった。 *21
わたしは妻を娶り、妻は子をみごもり、エノクを産んだ。
わたしは町を建て、その子の名をつけた。 *22
町は、エノクの裔で栄えた。
ああ、しかし、神は、主なる神は、
なんと恐ろしい呪いを、わたしにかけたのだろう。
わたしに、わたしの孫の孫の孫のであるメトサエル子レメクを殺させた。 *23
飢えと渇きをもって、わたしに幻を見させ、
わたしに、わたしの、骨肉の血を、
血と肉を、喰らわせたのだ。
わたしが、わたしの喉の渇きを癒し、
わたしの腹と口の飢えをおさめて、正気に戻ると、と、
そこには、わたしが喰い散(はらら)かした、血まみれのレメクの屍骨(したい)があった。
あ、あったのだ。
だっ、
あ、ああ、あ、ああ、
わたしは、これがために嘆き悲しみ
裸足と裸身で歩きまわり、
山犬のように嘆き、
駝鳥のように悲しみ泣いた。 *24
しかし、神はさらなる禍いをもって、わたしを撃たれた。 *25
わたしの耳をとらえ、わたしの耳に、ヘボナの毒液を注ぎ込まれたのだ。
その毒は、ひと瞬きの間で、わたしの身体を廻り、
ふた瞬きの間に、瘡をつくった。
まるで癩病やみのような
けがらわしい瘡が、
たちまち、わたしの
全身全躯を覆っていったのだ。 *26
瘡蓋を剥がしてみると、その瘡蓋の下の肉は、
腐った肉の色を見せ、腐った肉の臭いを放っていた。
おお、そして、わたしは、わたしの身体は、
まるで天骨(むまれながら)の背虫(おさむし)、傴僂(せむし)のように、背骨が湾曲してゆき、
しまいに、わたしは、わたしの頭(こうべ)を、地のおもてに擦りつけんばかりに、
ああ、まさに、神が呪われたあの古(いにしえ)の蛇さながら、さ、ながら、 *27
這い歩き、這い蹲らなければならなかったのだ。
だっ。だ。
ああ、
あ、ああ、
そのとき、わたしは、わたしの口は、
その骨の、激しい痛みと苦しみの中から、声をかぎりに叫び声を上げた。
「おお、神よ、神よ、わたしは不義の中に生まれました。
わたしの母は、罪のうちに、わたしをみごもりました。 *28
なにゆえ、わたしは、胎から出て、死ななかったのか。
腹から出たとき、息が絶えなかったのか。 *29
なにゆえ、あなたは、わたしを胎から出されたのか、
わたしは息絶えて、目に見られることなく、
胎から墓に運ばれて、
初めからなかった者のようであったらよかったのに。」 *30
と。
しかし、神は、これには、こたえられなかった。
そこで、わたしは、繰り返し神の名を呼ばわり、繰り返し神に祈った。
「神よ、わが救いの神よ、
血を流した罪から、わたしを助け出してください。」 *31
と。
「おお、神よ、神よ、わが救いの神よ、
血を流した罪から、わたしを助け出してください。」
と。
と、
すると、そのとき、神は、つむじ風の中から、わたしにこたえられた。 *32
「なぜ、あなたの傷のために叫ぶのか、
あなたの悩みは癒えることはない。
あなたの咎(とが)が多く、
あなたの罪が甚だしいので、
これらのことを、わたしは、あなたにしたのである。」 *33
と。
と、
そして、神は、さらにつづけて、こういわれた。
「人は自分の蒔いたものを刈り取ることになる。 *34
あなたも、また、あなたが蒔いた、あなたの裔を、
あなた自身の手で刈り取ることになる。
なぜなら、わたしが、あなたに、あなたの孫の孫の孫、
すなわち、あなたの裔レメクの子供たちを殺させるからである。
わたしは、あなたを血にわたす。
血は、あなたを追いかける。
あなたには、血の咎があるゆえ、血はあなたを追いかける。 *35
人の子よ、あなたに与えられたものを喰べなさい。 *36
あなたの口を開いて、わたしが与えるものを喰べなさい。 *37
あなた自ら屠手となり、後生(のちお)いの裔、骨肉の血と肉を喰べなさい。
さもなければ、たちまち、あなたの肉は腐れ、
目はその穴の中で腐れ、舌はその口の中で腐れることになる。 *38
その痛みと苦しみは、唯一、あなたの裔の血と肉によってのみ癒される。
それゆえ、あなたは、あなたの骨肉の血と肉を喰べることになる。
あなたは、これを拒むことはできない。
なぜなら、これが、わたしの呪いである。
この呪いをとくことはできぬ。
この呪いをとく手だては、ただひとつ。
あなたが、あなたの弟アベルの屍骨(したい)を見つけ、
これを、わたしへの供物として、わたしに差し出すことである。
そのとき呪いは成就し、あなたは、もはや人を喰べない。 *39
わたしは、あなたの弟アベルの屍骨(したい)を、あなたの目から隠し、
その隠し処を、あなたの裔の子らの臓腑(はらわた)の中に印す。
あなたは、あなたの手で、その臓腑(はらわた)を切り開き、
その印を見出さなければならない。
しかし、わたしは、その印を印した裔の子の名をあかすことはしない。
これもまた、わたしの呪いである。」
と。
と、
お、おお、
いまもなお、わたしの耳に残る神の古声、フル。コエ。
お、おお、たしかに、わたしは、弟アベルを殺した、殺、した、した、た、
あ、ああ、しかし、わたしの罪は過去のものだ。 *40
過去の、過去の、過去、の、
過去のことだ、だ、
あ、ああ、
それなのに、また、ああ、
また、あの日のことが、思い出される。
あ、あの日も、また、あの日も、また、風のある日だった。
籾殻を除くため、打ち場に麦束を運び、棒切れで、穂先を叩いていた。 *41
わたしと、弟アベルのふたりで叩いていた。
あれもまた、風のある日だった。
風は籾殻を捕らえ、籾殻は風に捕らえられ、
脱穀された穀物は、たちまち、小山となっていった。
わたしと、弟アベルのふたりは、その小さな山を崩して、袋に詰め、
括り合わせた袋を、牛の背に負わせて、帰り支度をした。
しかし、帰るには、まだ早かった。
わたしと、弟アベルのふたりは遊んだ。
棒切れ振り回して、遊んだ。遊んで、いた。
すると、そのうち、遊びが本気になって、喧嘩になった。
家に帰ると、腫れ上がったふたりの顔を見て、
父アダムは、わたしを叱った、わたしだけを叱った。
わたしの顔だって、ずいぶんと腫れ上がっていただろうに、
きっと、弟アベルの顔よりもひどく腫れ上がっていただろうに、に、
お、おお、それなのに、それなのに、
なぜ、父アダムは、わたしだけを叱ったのだろう。
なぜ、わたしだけが、父アダムに叱られたのだろう。
ああ、でも、あの日だけじゃない。あの日だけじゃなかった。
いつも、そうだった。いつでも、いつも、そうであった。
わたしだけが叱られたのだ。わたしだけが。
理由を言っても聞いてくれなかった。
むしろ、理由を話そうとすると、よけいにきつく、わたしは叱られた。
それに、また、わたしが、土を耕す者、父アダムの仕事を嗣ぎ、 *42 *43
一所懸命、畑で働いても、ちっとも褒めてくれなかった、
羊を飼う者、弟アベルが、取るに足らない仕事を、ほんのすこし、 *44
ほんのわずか手伝っただけで、これを褒めたりしたのに。に。
あ、ああ、わたしの心が捻くれ折れ曲がったのは
それは、わたしが、父アダムから、まったく愛されずに育ったからだ。
せめて、わたしが、母イヴにだけからでも愛されていたら……
しかし、母イヴもまた、わたしのことを、ちっとも愛してはくれなかった。
ちっとも愛してなどくれなかった。
いや、むしろ、それどころか、わたしのことを憎んでいた。
わたしのことを憎んでいた。わたしのことを憎んでいた。わたしのことを憎んでいたのだ。
あ、ああ、きっと、母イヴの魂(こころ)には、あの古(いにしえ)の蛇が棲みついていたのだ。
そして、その顎(あぎと)が、わたしの魂(こころ)を噛み砕いていったのだ。
それゆえ、わたしは、わが口をおさえず、
わたしの霊の悶えによって語り、
わたしの魂の苦しさによって嘆く。 *45
ああ、なぜ、母イヴは、わたしをみごもり、はらみ、産んだのか、 *46
と。
ああ、なぜ、母イヴは、わたしをみごもり、はらみ、産んだのか、
と、
と。
あ、ああ、わたしなど、生まれてこなければよかったのに、
生まれてくることなどなければよかったのに、
胎の実は報いの賜物である。 *47
それでは、わたしは、何だったのか。
父アダムと母イヴにとって、いったい、何だったのだろうか。
わからない。わから、ない。
わたしにわかるのは、わかっているのは、
父アダムと母イヴのふたりが、わたしのことを疎み、
わたしよりも、弟アベルを、弟アベルばかりを
可愛がったということだけだ。
それは、わたしの顔が醜いからか。
それは、わたしの顔が、野の獣のように醜いからか。
神の姿に肖(あやか)る父アダムにも、それにふさわしい母イヴにも似ない、 *48 *49
わたしの顔が、飢えた山犬のように醜く恐ろしいからか。
あ、ああ、わたしは、ふたりを愛していたのに、
深く、ふかく、愛していたのに、
だれよりも、深く、ふかく、愛していたのに、に、
ふたりは、わたしを疎み、弟アベルを可愛がった。弟アベルだけを可愛がった。
それは、わたしの顔が醜く、弟アベルの顔が美しかったからか。か。
ああ、たしかに、わたしは醜く、弟アベルは美しかった。
その顔(かんばせ)は麗しく、その声は愛らしかった。
しかし、わたしは長子である。
長子には、だれからも愛され、
だれよりも愛される権利があるのだ。
あ、ああ、それなのに、なぜ、それなのに、なぜ、
父アダムと、母イヴは、弟アベルだけを可愛がり、わたしを疎んじたのか。か。
あ、ああ、それなのに、なぜ、なぜ、……、
神も、また。また、……、
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、いくら耳塞ぎ、
耳塞いでも聞こえる神の声、カミ、ノ、コエ。
──弟アベルは、どこにいるのか。
知りません。わたしは、弟の番人なのでしょうか。
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、
あ、
また、、また、わたしは、過去に、過去に、引き戻されてしまった。
たっ、
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、
どの樹体にも、どの樹体にも、弟アベルの埋葬場所は印されていなかった。
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、これまで、どれだけたくさんの樹体を切り裂いてきただろう。
その夥しい数の少年たちよ、その夥しい数の少女たちよ。
ザクロ、イチジク、イチジククワ、
オリーブ、ブドウにナツメヤシ、ナルド、シナモン、アメンドウ、
チンコウ、ミルラに、セイニュウコウ。 *50
血、血と、血、血、血と、血、と、
ありとあらゆる樹体を、わたしは切り裂き、切り刻んできた。た、
あ、ああ、それは、神がわたしにかせられた罪咎の罰。
しかし、どの樹体にも、どの樹体の臓腑(はらわた)にも、
(弟アベルの)埋葬場所は)
印されてなかった。
たっ、
あ、ああ、それでもなお、神はささやく、
わたしの耳にささやく。
──弟アベルは、どこにいるのか。
と。
神はささやく、
わたしの耳にささやく。
──弟アベルは、どこにいるのか。
と。
わたしは、知らない、
知ら、ない、
わたしは、弟の番人じゃない、
じゃない、
じゃ、ない、
のだ、と、と。
神がささやく、
わたしの耳にささやく。
──弟アベルは、どこにいるのか。
と。
──弟アベルは、どこにいるのか。
と。
と、
お、おお、神よ、神よ、
いつまでお怒りになるのですか。 *51
あなたの怒りによって、わたしの肉には全きところがなく、
わたしの罪によって、わたしの骨には健やかなところがありません。 *52
いったい、いつまで、わたしは、わたしの、裔の子らの、血と肉を喰らいながら、
この曠野を彷徨いつづけなければならないのですか。
お、おお、神よ、神よ、
血、血と、血、血、血と、血が、血と、血が、、
血が、血と、血が、血がっ、
血が、
あ、ああ、
血と、血が、血が、わたしを、
血、血と、血、血と、血が、わたしを、を、狂わせた。た。た。
あ、ああ、哀れなる、わが頭(こうべ)、妖しくも、狂いたり。
哀れなる、わが魂(こころ)、麻のごと、乱れたり。 *53
血、血と、血を、血、血と、血を、
血を、見ているだけで、わたしは酔う。 *54
寸々に切り裂き、切り刻み、血、血を浴び、血にまみれて、
て、血、血を浴び、血まみれになることが、わたしの悦びとなった。た。
あ、ああ、あの噴き零れる臓腑(はらわた)、
あの温もりと滑り、
あ、あの、
温もりと、滑りと、重みが、
わたしの、わたしの狂った魂(こころ)の、唯一、ただひとつの慰めであった。った。
あ、ああ、わたしの目に光り耀く美しい少年たちよ。
目に光り耀く美しい少女たちよ。
その姿を目にしただけで、
わたしの魂(こころ)は、火の前の蝋燭のようにとろけてしまい、 *55
その躯を抱けば、わたしの情欲は、まるで茨の火のように燃え上がった。 *56
あ、ああ、華漁(はなあさ)り、華戯(はなあざ)り、
寸々に切り裂き、切り刻み、生き剥ぎ、逆剥ぎ、生き膚断ち、
血、血まみれの肉叢(ししむら)、肉塊、肉の塊が、わたしの病んだ魂(こころ)を慰めた。た。
見澄ますと、
石を投げれば、とどくほどにも離れたところに、 *57
樹葬されたばかりの美しい少年が立っていた。
立ちしなう美しい少年の美しい裸体、
目をつむったその美しい少年の目耀(まかよ)ふ美しさ、
その美しい少年の美しい半身には、どんなに小さな傷跡もなく、
腫れ物の痕もなく、雀斑もなく、黒子さえもなかった。た。
だが、その樹体は、無花果の甘い馨りを芳っていた。 *58
その半身は、擬(まが)うことなき果樹のそれ、無花果の樹そのものだった。
その頬は、芳しい花の床のように馨りを放ち、その唇は、
百合の花のようで、没薬の液を滴らす。 *59
その躯を抱きしめ、その唇に、わたしの唇を重ね、
その舌先を吸い、その甘い唾液を啜った。
その甘い唾液は、なめらかに流れ下る良き葡萄酒のように、
わたしの唇と歯の上を滑っていった。 *60
その臀(いさらい)、臀(いしき)の膚肉(ふにく)は柔らかく、その窪みは深かった。
花瓣の夢を見ながら、わたしは愛撫した。
わたしの堅い指は、その花瓣を解(ほぐ)そうとし、
その柔らかな花瓣は、わたしの指を包み込もうとした。
蕊(しべ)に触れると(ふれ、ると)、花瓣が指先に纏わりついてきた。
わたしの(わた、しの)堅い指は、その花瓣と蕊(しべ)と戯れた。た。
脹ら脛にできた瘡蓋に似た褐色の樹皮を毟り剥がすと、と、
生肉色の樹肉から、赤黒い地が流れ落ちた。
微かに動く瞼(目(ま)蓋)、
幽かに歪む口の端。
手に力を入れて陰茎をつかみ、
黒曜石の小刀で、臍下から胸元まで、一気に切り裂いていった。った。
噴き零れる臓腸(はらわた)はら)わた)、
血、血、血、血と、血、血、血と、地に滲(し)む、血、
さらに、それを切り開いて、わたしは、手を(て、を)入れて、みた。た。
──弟アベルは、どこにいるのか。
あ、ああ、この臓腸(この(はら、わた)の、温もり(ぬく、もり)、
──弟アベルは、どこにいるのか。
開いた唇、ひとすじの血涎れ(ちよだれ)
下垂る臓腸(はらわた)、引き攣り震える躯(から)だ)
それでも、神の似姿、麗しき少年の裸体は少しく傾き(かた、むき)
傾きながらも、目を瞑って、て、立って、いた。
あ、ああ、しかし、またしても、
しかし、またしても、臓腸(はらわた)には、印されてなかった。た。
わが弟アベルの、
アベルの、
の、
お、おお、ついに、手が疲れ、つるぎが手について離れなくなった。った。 *62
──弟アベルは、どこにいるのか。
お、おお、神よ、神よ、
すべて、あなたが命じられた命令のとおりにいたしました。
わたしは、あなたの命令に背かず、また、それを忘れませんでした。 *63
──弟アベルは、どこにいるのか。
お、おお、神よ、
神よ、すべての樹体は尽きました。
その夥しい数の樹体は、みな、私の手が葬(はふ)りました。
残ったものはひとりもなく、ひとりも逃れたものはありません。 *64 *65
わたしの背後、わたしの道は、
骨、骨、骨、
と、
血、血と、血、血、血と、血の足跡で、満ちている。る。る。 *66
お、おお、神よ、わが救いの神よ、
血を流した罪から、わたしを助け出してください。
神よ、御心ならば、わたしをお救いください。
すみやかに、わたしをお助けください。 *67
──弟アベルは、どこにいるのか。
お、おお、わが神、わが神、
なにゆえ、わたしを棄てられるのですか。
なにゆえ、遠く離れて、わたしを助けず、
わたしの嘆きの言葉を聞かれないのですか。 *68
お、おお、神よ、神よ、……、
おっ、おお、
いま霊が、わたしの顔の前をすぎた。 *69
った。
お、おお、
ついに、主が、主が、
主なる神が、つむじ風の中から、わたしにこたえられた。
「わたしの言葉は成就する。 *70
人を殺して、その血を身に負う者は、死ぬまで逃れ人である。 *71
いま、あなたの終わりがきた。あなたの最後の運命がきた。 *72 *73
人の子よ、立ち上がれ、わたしは、あなたに語ろう。 *74
屠(ほふ)られた小羊こそは、力と、富と、知恵と、勢いと、栄光と、
賛美とを受けるにふさわしい。 *75
あなたの弟アベルが、これである。
あなたの弟アベルは、人類最初の殉教者である。 *76
人の子よ、わたしは、これをこさせる。 *77
先にあったことは、また後にもある、
先になされたことは、また後にもなされる。 *78
あなたの弟アベルが、兄であるあなたカインに殺されたように、
後の世に、その不信仰な曲がった時代に、 *79
イエスと呼ばれる男が、ユダという名の男によって、つるぎに渡される。 *80
彼もまた、あなたと同じように、
愛することに激しく、憎むことに激しいからだ。
さあ、ついに終わりの時がきた。
わたしの言葉は成就する。
後の世のユダが、腹を裂き、臓腸(はらわた)を地に噴き零すように、 *81
あなたは、あなたの手について離れなくなったその小刀で、
あなたの腹を裂き、あなたの臓腸(はらわた)を開きなさい。 *82
アベルの屍骨(したい)の隠し処とは、あなたの躯である。
なぜなら、あなたの弟アベルは、兄であるあなたカインの中にあり、
兄であるあなたカインは、あなたの弟アベルの中にあるからだ。
それは、あなたの母イヴが、あなたの父アダムの中にあり、
あなたの父アダムが、あなたの母イヴの中にあるように、
また、後の世のイエスが、彼の弟子であるユダの中にあり、
そのユダが、師と仰ぎ、先生と呼ぶイエスの中にあるように。 *83
さあ、人の子よ、塵に帰りなさい。 *84
あなたは、塵だから、塵に帰りなさい。 *85
わたしが、あなたの息を取り去ると、
あなたは死んで、塵に帰る。 *86
塵は、もとのように土に帰り、
霊は、これを授けた神に帰る。 *87
霊は、わたしから出、
生命(いのち)の息は、わたしがつくったからである。」 *88
と。
と、
お、おお、神よ、
神よ、見よ、
わたしは、わが腹に刃物を突き刺し、
なお激しい苦しみの中にあって、 *89
わが臓腸(はらわた)を切り裂き、切り開いた。た。 *90
あ、ああ、わが臓腸(はらわた)よ、わが臓腸(はらわた)よ。 *91
その印は、わが額の印と同じもの、同じもの、の、の、
お、おお、神よ、神よ、
神よ、
グロリア・パートリ・エト・フィリオ・エト・スピリトゥイ・サンクト。
シクト・エラト・イン・プリンシピオ・エト・ヌンク・エト・センペル・エト・イン・セクラ・セクロールム。アーメン。 *92
父と、子と、聖霊に、栄えあれ。
初めにありしごとく、いまも、いつも、世々に至るまで。アーメン。
埋骨されなかったフレイズによる 0puscule:The Marks of Cain Reprise。
われは一つの花を慕えど、どの花なるを知らざれば
心悩む。
われはあらゆる花々を眺めて
一つの心臓をさがす
(ハイネ『われは一つの花を』片山敏彦訳)
*
花のはだかは肉の匂(にお)い
(アポリネール『花のはだか』堀口大學訳)
*
重い血の枝むら
(高橋睦郎『眠りと犯しと落下と』)
*
かさなりあった花花のひだを押しわけ
(大岡 信『地下水のように』)
*
花弁をひらく
(吉増剛造『渋谷で夜明けまで』)
*
すると、血(ち)がそこから流れでた
(シュトルム『白い薔薇』吉村博次訳)
*
人間のように血(ち)がしたたる
(吉増剛造『素顔』)
*
血は血に
血は血に滴たる
あ。
(村山槐多『ある日ぐれ』)
*
或(あ)る日、花芯(くわしん)が恋しかった。
(津村信夫『臥床』)
*
死んだ少年のむれ そのいたいたしい
美しいアスパラガス
(吉岡 実『模写──或はクートの絵から』)
鶏頭のやうな手をあげ死んでゆけり
(富沢赤黄男)
*
おお、樹木よ、お前の樹液は私の血だ!
(シャルル・ヴァン・レルベルグ『私は君たちであり』堀口大學訳)
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オトウサンナンカキリコロセ
オカアサンナンカキリコロセ
ミンナキリコロセ
(丸山 薫『病める庭園(には)』)
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同じこのような幸福のゆめを
ぼくは見たことがなかったろうか
樹も 花も 接吻も 愛のまなざしも
(ハイネ『同じこのような幸福の』井上正蔵訳)
花よ きみを ぼくの夢に 迎えよう
そこに いろどりさまざまに
歌う 魔法の 茂みに
(ヘッセ『ある少女に』植村敏夫訳)
分骨されたフレイズについて。
*01:阿部謹也が著した『刑吏の社会史──中世ヨーロッパの庶民生活誌』の「第二章・刑罰なき時代・2・処刑の諸相(12)内臓びらき」にある、内臓びらきの刑の図版が、大場正史が著した『西洋拷問刑罰史』の「第九章・異端糾問」に掲載されている「大腸をえぐり出される宗教改革の先駆、聖エラスムス」の図版と同じものであるのは解せないが、いずれにしても、この図版には、きわめて強烈な刺激を受けた。小学生の頃に、岩に鎖で繋がれたプロメーテウスが、二羽の禿鷹に繰り返し腹を切り裂かれ、肝臓を啄まれるという話を読んで、すごく怖い話だと思ったのだが、これに、たしか、白土三平の漫画だと思うが、磔になった罪人の目の玉を、烏がその鋭い嘴で抉り出す場面とが重なって、長い間、頭から離れなかったことを憶えている。いまでは、澁澤龍彦が著した『妖人奇人館』にある「切り裂きジャックの正体」を読んで、これぐらいに丁寧に殺されるなら、ぼくも、殺されたっていいかな、なんて、つい思ってしまうぐらいに、人間が壊れてしまっているのだけれど。ここに、その「切り裂きジャックの正体」の中から、もっとも興味をそそられた部分を引用してみよう。「ケリーは血の海のようになったベッドの上に、全裸で仰向けに寝ていた。右の耳から左の耳まで断ち切られ、首は胴体から離れそうになっていた。耳と鼻がそぎ落され、顔は原型をとどめぬほど切傷だらけであった。上腹部も下腹部も完全に臓腑を抜き取られていて、肝臓が右の腿の上に置かれ、子宮をふくめた下半身も、えぐられていた。壁には血痕が飛び散り、ベッドのわきのテーブルの上に、妙な肉塊が置かれていたが、これはあとで調べてみると、犠牲者の二つの乳房だった。その近くには心臓と腎臓がシンメトリックに並べてあり、壁にかかった額縁には、腸がだらりとぶら下がっていた。」この凄まじい殺し方には、禍々しさとともに、Jack the Ripper の美学への真摯な傾倒が窺われるのではないだろうか。それにしても、このきれいに腑分けされた臓物には、なぜかしら、宗教的な儀式が行われたような印象を受けてしまうのだが、臓物占いでもしたのだろうか。この『The Marks of Cain。』は、直接的には、冒頭に掲げた「内臓びらき」の図版に触発されたものなのだが、澁澤龍彦が著した『黒魔術の手帖』に書かれていた「ジル・ド・レエ侯の肖像」とともに、古代ローマ時代の臓物占いにも、また大いに触発されたものでもある。『夜想5号』の「屍体」特集号で、「屍体芸術」というものが存在していることを知ったのだが、小学生のときに読んだことのある、日野日出志の漫画の繊細な美しさには、遠く及ばないような気がした。日野日出志の漫画は、大事に隠し持っていたのであるが、たしか、小学校六年生のときだったろうか、父に見つかって、一冊残らず、すべて捨てられてしまったという記憶がある。ずいぶん以前のことだが、あの佐川くんに切り刻まれたフランス人女性が、肉片を縫い合わされて、人間の姿に(あくまでも屍体だが)復元された全裸写真を、雑誌で見たことがある。犯されたあと、生殖器から胸部にかけて真一文字に切り裂かれ、腹部から臓腑を引きずり出された中国人娘の写真(南京大虐殺の際のもの)や、アウシュヴィッツなどの強制収容所で行われた拷問や虐殺の記録写真にも触発された。麻酔なしの生体解剖をはじめ、さまざまな人体実験が行われたという。
*02:ヘッセ『飲む人』高橋健二訳。
*03:創世記四・四。
*04:神学的対論『ブリハッド・アーラヌヤカ・ウパニシャッド』第三章・第九節、「(一)まがうことなく人間は/森の主なる樹木さながら/彼のからだの毛は樹葉/彼の皮膚は木の外皮/(二)彼が傷つけられるとき/その皮膚からは血が流れる/木が切られれば外皮から/樹液が流れ出るように/(三)彼の肉は木の辺材/堅いその腱は木質部/骨は樹木の心材であり/髄は木の髄にたとえられる」(服部正明訳)及び、ダンテ『神曲物語』地獄篇・第十三歌、野上素一訳を参照した。
*05:M・M・ペイス『エジプトミイラの話』清水雄次郎訳。臓腑摘出に黒曜石の石刀が用いられた。
*06:雅歌四・三、六・七で、頬の美しさが、ザクロの赤い実にたとえられている。イメージ・シンボル事典によると、ザクロの木は、ディオニュソスの滴り落ちた血から生えたといわれる。民数記の第十三章には、ザクロが、乳と蜜の流れているカナンの地から、ブドウやイチジクとともに、肥沃の象徴として持ち帰られたとある。ザクロは、神からの賜物、或いは、豊饒を表わす聖処女の表象物である。教育社の大百科事典によると、ザクロは、人間の味がするので、鬼子母神への奉納物にされていたという。また、ギリシア神話では、ザクロは、冥府の食べ物とされており、オウィディウスの『変身物語』第五巻の中に、プルートスによって冥界に連れ去られたプロセルピナが、そこにあったザクロの実を七粒食べたために地上界に戻ることができなくなったという話がある。
*07:創世記三・一八。
*08:エゼキエル書二八・二四。
*09:哀歌一・一五。
*10:ロンサール『カッサンドルに』井上究一訳。
*11:エゼキエル書三七・一─二。
*12:哀歌四・八。
*13:創世記四・九。
*14:創世記四・九。
*15:ヨブ記七・一九。
*16:詩篇五四・二。
*17:申命記三二・一。
*18:創世記四・八。
*19:シェイクスピア『ハムレット』第三幕・第三場、大山俊一訳。
*20:創世記四・一四。
*21:創世記四・一六。
*22:創世記四・一七。
*23:創世記四・一八。
*24:ミカ書一・八。
*25:ゼカリヤ書一四・一二。
*26:シェイクスピア『ハムレット』第一幕・第五場、大山俊一訳。
*27:創世記三・一─一五。ヨハネの黙示録一二・九。
*28:詩篇五一・五。
*29:ヨブ記三・一一。
*30:ヨブ記一〇・一八─九。
*31:詩篇五一・一四。
*32:ヨブ記三八・一。
*33:エレミヤ書三〇・一五。
*34:ガラテヤ人への手紙六・七─八。
*35:エゼキエル書三五・六。
*36:エゼキエル書三・一。
*37:エゼキエル書二・八。
*38:ゼカリヤ書一四・一二。
*39:エゼキエル書三六・一四。
*40:シェイクスピア『ハムレット』第三幕・第三場、大山俊一訳。
*41:M・ジョーンズ編『図説・旧約聖書の歴史と文化』左近義慈監修・佐藤陽二訳。
*42:創世記二・一五。
*43:創世記四・二。
*44:創世記四・二。
*45:ヨブ記七・一一。
*46:ホセア書九・一一、「産むことも、はらむことも、/みごもることもなくなる。」より。
*47:詩篇一二七・三。
*48:創世記一・二七。
*49:創世記二・一八。
*50:左近義慈・南部泰孝著『聖書時代の生活 I』。
*51:詩篇九〇・一三。
*52:詩篇三八・三。
*53:ゲーテ『ファウスト』第一部、相良守峯訳。
*54:ラディゲ『柘榴水』堀口大學訳。
*55:ミカ書一・四、詩篇六八・二。
*56:詩篇一一八・一二。
*57:ルカによる福音書二二・四一。
*58:教育社の大百科事典によると、イチジクは、ザクロと同様に、豊饒のシンボルだが、原罪との関わりにより、欲望の象徴(創世記三・七)ともなっている。イメージ・シンボル事典によると、イチジクは両性具有を、イチジクの木は男性を表わしているという。また、イチジクは、バール神への典型的な捧げ物であるといい、ギリシア神話では、ディオニュソスが、冥界の入口にイチジクの木を植えたという。しかし、イチジクの木を、少年の樹体とした最大の理由は、葉をむしると、そのむしり取られた葉柄や葉基といったところから、精液によく似た白濁色の樹液が滲み出てくるからである。干しイチジクは、列王紀二0・七の中に、腫物に効くと書かれている。
*59:雅歌五・一三。
*60:雅歌七・九。
*61:中原中也『雨の日』。
*62:サムエル記下二三・一〇。
*63:申命記二六・一三。
*64:士師記四・一六。
*65:歴代志下二〇・二四。
*66:ホセア書六・八。
*67:詩篇七〇・一。
*68:詩篇二二・一。
*69:ヨブ記四・一五。
*70:エゼキエル書一二・二八。
*71:箴言二八・一七。
*72:エゼキエル書七・三。
*73:エゼキエル書七・一〇。
*74:エゼキエル書二・一。
*75:ヨハネの黙示録五・一二。
*76:創世記三・三、三・八。
*77:エゼキエル書二一・二七。
*78:伝道の書一・九。
*79:マタイによる福音書一七・一七、ルカによる福音書九・四一。
*80:ミカ書六・一四。
*81:使徒行伝一・一六─一九。
*82:ヨブ記一六・一三、「わたしの肝を地に流れ出させられる。」より。
*83:マタイによる福音書二六・二五。
*84:詩篇九〇・三。
*85:創世記三・一九。
*86:詩篇一〇四・二九、「あなたが彼らの息を取り去られると、/彼らは死んで塵に帰る。」より。
*87:伝道の書一二・七。
*88:イザヤ書五七・一六。
*89:ヨブ記六・一0。
*90:大岡 信『地下水のように』、「ぼくはからだをひらく/樹脂の流れる森に向って」より。
*91:エレミヤ書四・一九。
*92:Gloria Patri et Filio et Spiritui Sancto. Sict erat in principio et nunc et semper, et in saecule saeculorum. ラテン語の祈祷文。最後の「アーメン」は、コロスとの唱和。
以上の文献を引用するにあたって、拙作の文脈に合わせて部分的に書き改めたり、書き加えたりしたところがある。
選出作品
作品 - 20111107_474_5679p
- [優] The Marks of Cain。 - 田中宏輔 (2011-11)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
The Marks of Cain。
田中宏輔