1、あこがれ
『わたしは日本に行くことに決めたわ
お金を貯めるの
そしていっぱい送るわ
わたしも良い生活をするの
テレビも買って 車も買って
ここに大きなお家を買うの
みんなで幸せになるのよ
素敵な日々を暮らすのよ 』
2、労働
マルクスおじさんと毛沢東おじさんが本の中で喋っている隙に、また電車が停まる。機械は人間の労働を減らすこともなく、機械が人間に近づくことはなく、人間が機械に近づいている。
間違いかな?
むかしむかし、人間は機械を造ることにした。人間の代わりに労働をさせるために。奴隷が担っていた労働を機械にやってもらうために。そして、労働から解放された奴隷たちは、勉学に励み、友達と遊んで、詩を書き、絵を書き、楽器を弾き、まるでイルカみたいに愛を確かめあう。
間違いかな?
美しい女の子だった。その店で一番の、その街で一番の、その国で一番の、その世界で一番の。
間違いかな?
ここに来る前はファミレスで働いていたの。その前は百円ショップ。一番最初に、この国に来た時は病院で働いていたのよ。きっと次は風俗店ね。と日本語みたいな言語。そんなことない。大丈夫だよ。と嘘。そうね、きっとうまくいくわよね。と嘘が重なりあう。
3、逃走
嘘は酒を飲んだ。嘘は卑怯だ。嘘と卑怯は海へ逃げたが、辿り着いたのは海ではなかった。
4、物語
青と黒の箱
マッキントッシュが鳴く
キーボードを叩く
詩や小説でもなく
ショートショートでもなく
街中でも
喫茶店でも
ベットの中でも
キーボードを叩く
間違いかな?
選出作品
作品 - 20110801_244_5410p
- [佳] JAPAN? - 進谷 (2011-08)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
JAPAN?
進谷