選出作品

作品 - 20110728_150_5403p

  • [佳]   - 進谷  (2011-07)

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  進谷

 空と海の間から生まれてきた青はまるで何かを探しているかのように人々の目を覗きこんでいた

 ああ 
   僕は
  ここにいるのだろうか?

 フィルムには青が映っていた
 キャンパスには青が描かれていた
 本物の青 
 それは空か?
 それは海か?

 青いフィルム
 架空と真実の間にいる青は尋ねた

「ドキュメンタリーは真実か。ニュース映像は真実か?」
「違う」
「では真実とは何だろう?」

 空が青いわ
 と少女は言った
 海が青いわ
 と娼婦は言った 

 また朝が来るねと
 また夜が来たねと
 女の子は
 言った

 僕がこうやって世界を切り刻んでいる間
 少女は
 腰を振り続けている
 
「悲しいなんて、意外と子供っぽいのね」
 と娼婦は言った
「悲しいんじゃない」
 と僕は言った
「じゃあ何?」
 と青は尋ねた
「感じたいのよ」
 と少女は答えた

 青、ブルー、男と女は海へ逃走する
 海に何があるの? 
 永遠

 切り取られた血管みたいな女の子は言った

  手をつないで

 どこに行くの? 

 洗濯をしないと着る服がない
 なんだかジャンクフードが食べたくなってきた
 洗濯が終わったらチーズバーガーでも食べようか
 外では花火が鳴り響いている
 
 青は消え
 僕は煙草を吸う
 明日を見失い
 昨日は無くしてしまった
 
 いま
 僕はいまと書いた

 僕は一行
 文章を書き
 それから
 また
 あたらしい
 一行を書いた

 シンプルで
 ナチュラルな
 言葉を
 僕はつないでいく
 ことにした

 青は語る

 手をつなごう
 僕は青じゃない

 煙草が切れた
 から
 ここで終わりにする