皿の上に蜘蛛が上る。蜘蛛は無数に口を開き、小蝿を吐き出し、一匹が女の陰毛に止まって宿をとる。
蜘蛛が上った皿は、女の頭めがけて投げつけられ、割れる。こんなことはあたりまえだ、と一人の男が蝿に語りかける。
男の奥歯の影で、ヘルペスが花開く、彼の口はもう毎晩、ほかの男達の歓喜の中で、水泡がはじける。
水泡の中に、多くの子供達。お前らの子供だ、みてみろ、こんなにも醜い!
体も頭もあったもんじゃない、どろどろの中に、腐った魂がへばりついてようやく、生きているだけだ!
排水溝で、せいぜいもがきくるしんで死ぬだろうよ、女や男の髪の毛を衣にして、ながされるだろうよ。
貴方からの終わりのない、
暴力の、あたたかさ、
と、女が言うので、
思いっきり頭をなでててやった、
お前の尻はいつでも、青ざめて、
天使どもがまともに堕落でもできずに、
酒場で酔っ払っているように、
「私は神に給仕した」と、叫ぶ天使の、
肌の黒いこと、あいつは、クロンボ、
アフリカの大地で、真っ黒焦げにこげちまって、
もう、白にはなれないだってよ、
そんな与太話は聞きたくないってか、
くだらない、くだらない、あまりにもくだらないって、
蝶々が言うから、羽をむしって、女の頭に髪飾りとして
くれてやって、奴は妊娠しやがったんだよ!
妊娠したが最後、女の腹を祝福でみたせってもんで、
酒場中の酔っ払った天使どもが、女のあそこにキスさせてくれって
大騒ぎだ、
あいつらは、絶頂をしらないのさ、
いつも、祝福に満たされて、インポなんだよ、
神は、あいつらに絶頂をあたえなかった、
だけど、俺たちには与えた、
そして、最後にはそれも全部奪い去りやがる、
まとめて全部だ、よぼよぼになったじじいどもが、
女の肌に触るだけで満足するように、
天使どもは、いつだってじじいなんだ、
やつらは、乞食、俺達の、絶頂を見つめては、記憶の中で、
拾い集めて喜んでやがる、
「ねぇ、君の、三丁目は、
夕日の中で、夕日の中で!」
「君らの日本語はあまりにも、
潔癖症だから、私のこの、
肉体はいつだって、存在しない、
ことを前提に、便器の上で、上で!unnko!」
「山ちゃんは、三陸海岸の、ヒットラー!」
「鬼ごっこさせて、ベネチアを、下る」
「日本語について、まじめに答えよう」
「日本語には、体が無い、肉体が無い」
「夜は、曙、昼は水鳥」
「引用される、私の身体」
「へーどれがどうしたの」
「ここからは工場の映画」
「煙はずっと、くだをまいて、世界中のヤクザどもの、
千の涙を集めて、君は」
「ずっと風になる」
「風になったまま、私達は」
「いつだって、ここからは、工場の映画」
「煙はずっと私達の肺を満たして、」
ぼくはですね、(そう、朴訥に!とってもお上手なお前!百点だ!)
はっきりいますが、日本語が大嫌いなんですよ、
この不器用な言葉が、いつだって、
草葉の陰で、泣いているのを、
「うえーんうえーん」
と、「はは」
「はははははは」
「まーたん、まーたん」
「夕日の中で、あんな糞みたいな
三丁目は、燃やしちゃおうよ」
「にくまんの額に、キンニクマンが、降りてきて、
そして、星の王子は、三回もおねしょをしたんだって、
だから、彼の髪の毛は金髪で」
「うるさい、黙れ」
「孤独は依然として、瓶にそそがれたまま」
そして何度も「私は」「私は」を繰り返す、
「さやちゃん!」
もくもく、煙、どこまでも、
煙のない、土地、
砂漠は、夜の貴方のためにある、
「えー、はやこちゃん」
「明るいね」
「冷蔵庫も、扇風機も、すべてが明るいね」
「ここにある言葉は全部がらくただけど、」
「それが明るいね」
「優しい言葉を」
「うるせぇ!世界中のろくでなしが、
まとめてかかってきても、
逃げちゃうから!」
そして、きぶんが落ち込むんです、(唐突にですよ、唐突にですよ!)
チュルクン、
苦し紛れに、
パータ、と、倒れる、
事への、「傍観」
が、百回、
水平線で、捻じ曲がる、
牛乳、
クマルリ、
瞬きの、パチャへの、
冒頭からの引用が、
千度、
教室を開こう、
塗りつぶされたばかりの、
床に、広がる、
光の中で、
果実が実る、
都市が実る、
「わーい、わーい」
「ょ、ってつけたらかわいくなるって思ってる
糞みたいな書き手を全部ぶっ殺したい
こんな俗っぽい本音を正当化するために、
長々と書くんですよ!
分かりますか、諸君、世界は、くだらない
描写で埋め尽くされて、
まさに、ウンコカスですよ、諸君!」
ここから拾い始める、
あらゆる都市の、
中で、歌われる惨禍の、
始まりを、
あなた、おまえ、
わたし、の、
口に、
ここには、灰がない、
「ねぇねぇ。とりあえず、ょ、ってつかってみよっか」
「わたしぃ、あなたのことがだいすきだょ!」
「汚物は消毒だコラ!」
土の中に、
埋められた、震災の犠牲者のその瞳が、
いっせいに、この、東京の、
道路やビルの壁に花開いたら、
きっと多くの人が、気持ち悪いって言って、
逃げ出すだろうけど、
正直、そんな風景を望んでいる
ぼーいみーつがーるに、
らぶあんどぴーすの、
壮絶なる全生命体への復讐劇を待ち望んでいるんですよ、
はらきりさんまの、
金閣寺!
めのなかに、
あるゆきの、
ふしぎなあたたかさの、
おわりから、
はじまって、
ずっとはじまりのない、
このりょうど、
―ユートピア
「ここは、星座の始まり」
「貴方の終わりの無い暴力からはじまる」
「紙はもうとっくに、真っ黒でいつも真っ白」
「貴方は、過去形に彩られた、星座」
「流れ星は、少しばかりの母」
「恒星の、物語」
「ずっと飛来する、ばかりで、
「飛ばないことだけを、
「括弧を決して、閉じない
「教室は、いつのまにか、
「教師達ばかりで満たされ
プゲラ、ウンチョ!
モスキート!フルスコバッコ!
この放送は江戸川の腐った香りのする、
松戸の安アパートから!
駅構内に点在する、空白地帯、
浮浪者たちが、我が物顔で、
座り込む、連絡口の、
壁面に飾られた、市民の、
優しい絵、
おい、お前らとりあえず、
手芸でもやろうぜ!
みたいな、そういう、口笛の間に、
奈々子
「生まれて26年、ぶっちぎりの処女」
つとむ
「生まれて30年、ぶっちぎりの童貞」
山崎
「世界が球体としての意味を失った時、
僕の包茎は、初めてやさしく開かれる」
まさと
「俺が、ろくでもない暴力を、振るう時、
世界はこっそり泣いてくれる」
ゆうじ
「ギャルをナンパして、シカトされときに、
浴びせる罵声の心地よさ」
りな
「公園の砂が、決して海の砂でないのは、そこに、
子供達の汗と一緒に、犬のウンコが入っていて、
それを掛け合いながらも笑い合っている子供達の
笑顔があるから」
まな
「私が双子でなかった、きっと世界の均衡は、
とっくの昔に失われていて・・・」
ベンヤミン
「同時にまた、もしかするとその付加語は、その
要求に応じられているであろうもうひとつの領域
、神の記憶という領域への、指示を内包しているかもしれない。」
ワンピース第612話の人魚達
(何が入っているのかしら・・・)
(宝物なら宝箱でしょ?大切な樽なら高級酒でしょ?)
総合英語Forest P354
―この日本語を否定文にしなさいと言われたら、一番最後に否定表現を加えて
「ぼくはおなかがすい"ていない"」
ぼくはおなかがすいていない
ぼくは、けっしておなかがすいてはいない、
大岡昇平―差別・その根源を問う(上)―
「人間性を失っても、やはり現実には人間ですよ。
ただその場合にも、強いていえば、差別がある。
篭城でも、飢饉の場合も、まず、女子どもが食われる。
フィリピンでも、日本兵はまず敵であり、また弱いフィリピン
人を、しかも女をと考える。」
たのしいおりがみ135 日本折紙協会 P274
おにの折り方のページから
「人が想像してつくりだしたおには、きばやつのがあって、
おそろしいかいぶつとされているんだよ。」
ここまで読んでくれてご苦労様
選出作品
作品 - 20110521_188_5234p
- [優] 火の始末 - Q (2011-05)
* 著作権は各著者に帰属します。無断転載禁止。
火の始末
Q